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Q:「食べる」と「食事する」は何が違いますか?

Q:「食べる」と「食事」は何が違いますか?

A: 「食べる」は皿に盛ってある食べ物を箸やフォーク、手などで掴み口に運んで噛んで飲み込むまでの動作のことです。「食事」はテーブルに並んでいる料理全体を飲んだり、味付けして味わう一連の行為のことです。

一つの特定の料理ではなく並んでいる料理や飲み物全体を味わうことを指し、「野菜を食べる」と言いますが、「野菜を食事する」とは言いません。
「食べる」は「食事する」の中の一つの動作と言えます。

2020.09.24 | コメント(0)

なぜ日本語学習者が形容詞の定着が悪い理由と対処法


日本語教育に携わっている教師であれば学習者の形容詞の活用変化の定着の悪さに直面したことはあるでしょう。

僕も日本語教師として教壇に立っていた頃、中級の後半レベルになった学習者の間でも「暑いじゃない」「好きくない」などの誤用が見られました。

このような形容詞の誤用を避けるため形容詞を使用する際は否定形ではなく対義語で対応しやすいという研究結果もあります。

関西外国語大学の小村氏「対義語を使ったい形容詞の新しい指導方法」によると形容詞の運用について以下の実験結果が得られました。

(実験対象)
関西外国語大学の留学生60人、1年から1年半の日本語学習経験

(実験方法)
形容詞の絵カードを英訳付きで見せて受験者がそのカードを発話し、直後にその形容詞の反対の意味を持つ形容詞を発話させる。

例えばBusyという形容詞カードを見せた後で「not busy」を見せて形容詞の否定形「〜くないです」を用いて「忙しくないです」と答える学生と「暇です」と答える受験者の数を比較する。

もちろん、「〜くない」を使って否定文を作りなさいと言う口頭での指導は一切行わずカードの指示に従って発話することのみを伝える。

(調査結果)
67%の受験生が「〜くない」を用いず、対義語の形容詞を使って発話した。また、否定形を用いた受験生の中には「好きくない」「楽しいじゃない」「忙しいじゃない」と言う誤答も見られた。


このように日本語学習者にとって形容詞の定着が悪く、活用を避けられる理由はなんでしょうか。


<なぜ学習者は形容詞の否定形使用を避けるのか。>
考えられる理由は次の3つです。

1、種類と活用が複雑
2、形容詞の導入方法に問題
3、形容詞が持つ言葉の特徴

順に見ていきましょう。

1、種類と活用が複雑

日本の形容詞の種類は「い形容詞」と「な形容詞」の2種類があり、かつそれぞれ活用方法が違っています。

例えば「寒い」の過去否定形を使う場面に出くわした場合、学習者は「寒い」がい形容詞かな形容詞かを見極め、次に「い形容詞」の現在形か過去形を判断し、さらに肯定系と否定形の形も思い出さなければなりません。

瞬時にこれだけの判断を求められるため誤用が多発し、定着に結びつかない学生が多いと考えられます。


<形容詞の導入方法に問題>

次に考えられるのが形容詞の導入方法です。

一般に広く使用されている「みんなの日本語」であれば8課で「い形容詞」と「な形容詞」を同時に導入し、さらに否定形、過去形も導入します。

加えてい形容詞の術後分の否定形導入ではその活用形式の定着に重点を置いた練習問題が多く散見されます。

例)日本の食べ物は安いですか?
・・・いいえ、(安くないです)。とても 高いです。

1)あなたのパソコンは新しいですか。
・・・いいえ、(  )。古いです。

2)イギリスは 今 暑いですか。
・・・いいえ、あまり(   )。

「あなたのパソコンは新しいか」と聞かれてもその学習者によって違うでしょうし、イギリス人でなければ今暑いかどうかはわからないでしょう。

このように「みんなの教科書」では学習者が否定形の意味を持つ文を発話しなければならないという状況設定が曖昧で、なんのために否定形の形容詞述語を使わなければならないかがわからない無目的な文法練習になっています。


3、形容詞が持つ言葉の特徴

形容詞は動詞と違い感情や物事の特徴を段階的に表すことが可能である点が挙げられます。

つまり、動詞「食べる」の否定形は「食べない」以外はあり得ませんが、「面白い」には「面白くない」から「つまらない」という段階があり、対義語が使用可能なのです。

動詞には「するか」「しないか」を表すものですが、形容詞は対義語が換言可能であるため、複雑な活用変化を経て誤用を発するより、対義語を使用するという判断をする学習者が出てくると考えられます。

<形容詞の否定形を定着させるための指導法>
機械的な文法練習を避け、学習者が自然な状況設定で言いたい状況で言わせるようにするにはどうすればいいのでしょうか。

同じ教室内での練習は以下のようなものが考えられるでしょう。

教師 : 教室は暑くない?(寒くない?)
学習者 : いいえ、(暑くない)です。

もちろん、その時の気候によっては通用しなくなりますが、春先や秋口で特に暑くも寒くもない日であれば自然な文法練習になるはずです。

場合によっては板書して、35度とかいて「暑いです」と言い、8度と板書して「寒いです」と発話したのちに寒くも暑くもなさそうな気温「21度」と板書して、「暑いですか?(寒いですか?)」と問いかけて「暑くないです(寒くないです)」を引き出すという手段もあります。

このように教師が対義語が使用しにくく中間的な程度を発話したくなる場面を設定し、学習者に自然な文法練習を促すことで形容詞の定着は飛躍的に良くなると考えられます。


<参考文献>
「対義語を使ったイ形容詞の新しい指導方法」
https://core.ac.uk/download/pdf/147852419.pdf

2020.09.19 | コメント(0)

ビジネスYoutuberはオワコン化と教育Youtuberの台頭


どうもです。

最近ずっと日本語の動画教材製作に勤しむ傍ら、Youtubeサーフィンをしています。

動画教材をYoutubeで宣伝するために色々勉強しているのですが、気づいたことがあるのでシェアしておきます。


Youtube界の流れとしては最初にヒカキン氏やはじめしゃちょーなどの芸能、エンタメ系Youtuberが参入し、Youtuberというものが認知されだしました。

その後、音楽系、グルメ系、旅行系、と様々な分野の人がYoutubeに参戦し、Youtuberというよりも本業をやっている人が副業として本業に関わる情報発信を始め、最近は税理士、弁護士などいわゆる兼業Youtuberが増えました。

企業側はそんな彼らに企業案件を委託することで商品やサービスを宣伝していたのですが、Youtubeの市場を見込んでか最近は自社や個人で情報発信を始める人が増えました。

こうしてビジネスYoutuberの参入が増えたというのが最近の動きであると認識しています。


で、ですね。

今後はビジネスYoutuberは衰退して我々教育系Youtuberの時代が来るかなぁーと思ってます。


理由を説明します。

まずなぜビジネスYoutuberが衰退するのかといえば情報の賞味期限が短いからです。

どういうことかというとビジネスの世界は常に日進月歩、昨日の情報が時代遅れになることだってざらにあるのです。

動画で「〜というサービスがいいですよ」と言っても来年には廃れているか新しいものに取って代わられているかもしれません。

2年前まで仮想通貨アフィリエイトが流行っており、それについて動画で語っていたビジネス系Youtuberがいたとしても今年仮想通貨アフィリエイトは見る影もありません。

GoogleのSEOの話をしても数ヶ月前にGoogleの仕様が変わり、今まで上位をとっていたキーワードが変わったことはブロガー界にとって記憶に新しいと思います。

そのためビジネス系Youtuberは次から次へと動画を投稿しなければなりません。


それに比べて教育系Youtuberはエンタメ系やビジネス系に比べて賞味期限が長いと考えられます。

つまり、ビジネス系のネタと違い数年後、急に数学や英語、日本語を学びたいという人がいなくなっているということは考えづらく、どの時代でも一定程度需要があるということです。


その分、トレンドに乗りにくく、拡散はされにくいのですがロングテールなので数年後にすごい再生数を叩き出しているということだって考えられるのです。


しかもですね。

ご存知の通り日本は空前の少子高齢化社会に突入しており、一昨年40万人、去年は50万人の人が日本列島からいなくなっております。


つまり、日本で日本人向けに商売している人は顧客が毎年40〜50万人減っているということなのです。

しかし、日本語の先生の場合日本語というコンテンツを海外に売ることができるので人口減少の影響を受けにくいのです。

それどころか世界人口はしばらく増加するのでビックチャンスなのですが、なぜかあまり言及されません。


聞こえてくるのは

「日本語教師を国家資格化しろ」「日本語教師の待遇を良くしろ」

といった他力本願な主張ばかり。

日本に留学する人が減っており、コロナ不況で公金が様々な分野で投入されている今、その必要性を感じて政府が公金を投入してまで日本語教師の待遇をあげるとは思えません。


何度かこのブログで主張していますが、人や政府に期待せず自分で動きましょう。


政府や社会を変えるよりも自分を変えて行動する方が早いし合理的ですからね。

それでは!

2020.09.12 | コメント(0)

失敗でさえコンテンツになる時代に挑戦しないことが失敗になると言う話


どうもです。9月に入り、かなり涼しくなりました。

と言っても台風の影響からのもので、しかも今回の台風は観測史上最高風速のようです。

風速で窓ガラスが割れて散らばらないようにガムテを窓に貼る作業をしていたのですが、足りなくなったのでホームセンターに行った所すべて売り切れていました。

ガムテープが売り切れとは前代未聞ですが、他の食べ物などの買い占めも行われていました。

コロナ騒動の前といい全然進歩がないなと思ったのですが、もしかしたら凍った消費を揺り戻すためにあえてマスコミと一緒にキャンペーン代わりのセンセーショナル報道をしているのかなと思ってしまいました。

それは半分冗談ですが、夕方くらいから台風の接近の影響で気圧が下がり、ずっと気分が悪いので観測史上最高と言うのはあながち大げさではないと思います。

台風の接近で頭痛がすると言うのは初めての経験なので。


さて、今日の本題です。

先日Youtubeで朝倉未来チャンネルを見ていて気づいたことがあるので共有したいと思います。


朝倉さんと言えば総合格闘技を代表する選手でありながら、Youtube界も賑わしているほどのインフルエンサーですが、このチャンネルで現在3人の若者を総合格闘家に育てようと言うプロジェクトが進んでいます。

Youtubeで応募者を募集し、書類選考とスパーリングテストを経て3人を選出し、1年で総合格闘技の舞台ライジンにデビューさせると言うものです。


ライジンデビューの前段階としてライジンの前座に当たるDeepと言う大会で8月に3人がデビュー戦を飾ったのですが、3人のうちで一番強いと目されている近藤ヒロヤ選手だけが負けてしまうと言う波乱の結果に終わってしまいました。


試合も見たのですがどうやら相手がトップレベルで強い選手だったようで、打撃では優勢だったものの怪我などでマイナス点が加えられてしまったようです。

「人生をかけていたのに」

と試合後のインタビューで落胆の色を隠せない様子でした。


ところがですね。

試合中継は3人共同じ動画で流れたのですが、コメント欄の多くは勝った他の2名の選手に対してではなく負けたヒロヤ選手に対しての応援メッセージで埋め尽くされていました。

朝倉未来1年チャレンジの3人のプロデビュー戦
https://www.youtube.com/watch?v=xqLVcJ_r4iM

一人はTKOをとったにも関わらずです。


負けたとはいえデビュー戦で格上の相手に挑んで善戦したその姿が見ている人の心を打ち、ファンを獲得したのでしょう。

SNSのフォロワー数も他の2名より格段に増えていました。

フォロワーが増えたと言うのはプレッシャーにもなりますが、力にもなるはずです。


ヒロヤ選手にはこの悔しさを力に変えて次こそは勝利をもぎ取ってほしいものです。


で、ですね。この話から何が分かるかと言うと成功だけでなく失敗でもコンテンツになると言うことです。

新しいことを始めたいけど失敗したらどうしようと二の足を踏んでいる人は多くいるでしょう。

しかし、失敗からも物語ができファンができるのだとしたら挑戦する気になるのではないでしょうか。

特に日本人は敗者、特に強敵に挑んで負けた敗者を讃える傾向があります。

徳川家康より真田幸村、桂小五郎や西郷隆盛、大久保利通よりも新撰組が人気があるのもそんな国民性が関係しているのかもしれません。

何か新しいことに挑戦し、成功すれば儲けものだし失敗してもその失敗をSNSで晒せばファンがつくのです。

こう考えると挑戦しないことがいかに損か分かります。

何かに挑戦しようかどうか迷っているあなた、時間の無駄ですよ。^^

それでは!

2020.09.05 | コメント(0)

読後 「外国語学習の科学 〜第二言語習得論 とは何か〜」 ~子どもをバイリンガルに育てるためには〜


今回は書評で取り上げる本は「外国語学習の科学」です。



どんな学習者が外国語学習に成功できるか、どんな方法を使えば外国語習得に成功するのか第二言語習得理論をもとに考察されています。

科学的な内容が平易に解説されているのでこれから外国語学習に取り組む人やなかなか語学を習得できない人、語学教師で指導に悩んでいる人にとっては有意義な内容です。

幼少期における語学習得方法と成人期の語学習得方法、それぞれ分けて解説します。

というのも幼少期における語学習得と成人の語学習得は根本的に異なるのです。

その理由についても触れながら解説を試みていきましょう。


1、バイリンガルを育てるためには

まず外国語学習に最も大きく影響するのが年齢です。

子供は語学の天才でどの国のどの場所に生まれても正確にその国の言語を習得します。

しかし、ある一定年齢を超えるとネイティブ並みの外国語能力を身につけるのはほぼ不可能だと言われています。

臨界期と言われ、年齢を超えると語学の習得が困難になるという年齢で思春期が始まる年齢である12、3歳だと言われています。

なぜ年齢の影響がそんなに大きいのかといえば大人になることで脳の構造そのものが変わる説や、物事を分析的に捉えるようになるため子供のように自然に習得するのが難しくなるなど言われています。

その中で最も有力な説は母語干渉だと言われています。

つまり、母語を習得することで外国語を母語を介してのみ習得するようになるのです。

例えば日本人の例で言えばLとRの違いについてです。

日本人の赤ちゃんでも生後数ヶ月はLとRの違いを判別できますが、生後6ヶ月から一年になるとその能力は急激に失われます。

なぜそんなことがわかるのかと言うと実験結果があるのです。

ワシントン大学のパトリシア・クールらが行った実験がそれです。

まず、赤ちゃんに「ra,ra,ra,ra」と言う音を聞かせ途中で「la,la,la,la」と言う音に変えます。

それと同時におもちゃを出す、と言うことを繰り返すと赤ちゃんは音が変わるとおもちゃが出ると察し、音が変わるとおもちゃが実際に出てくる前におもちゃの方向を向くようになります。

これが1歳になる赤ちゃんだと「ra」から「la」に音が変わったと判断できずにおもちゃが出てくるまで気づかないのです。(本書p43)


不便に思えますが逆に母国語と無関係の音は全て雑音として処理し、効率よく母国語の音声を聞き取り習得するための優秀な脳機能とも言えます。

一方、幼少期に外国語が習得しやすいからと言って幼少期から外国語を聞かせていれば母語や脳に悪影響がないかと不安に思う人もいるでしょう。

外国語を学ぶと日本語がおろそかになると言う言説もありますが実際のところどうなのでしょう。


これについてもクールは実験検証を行っています。

生後9ヶ月のアメリカ人の赤ちゃんに1回25分を4週間(計5時間)中国語の本を読み聞かせたり中国語のおもちゃで遊んだりしました。

同じく生後9ヶ月の中国人の赤ちゃんに同じ時間、こちらは英語の本を読み聞かせ、英語のおもちゃで遊びました。

するとアメリカ人の赤ちゃんは中国ネイティブ並みの聴解能力を示し、反対に中国人の赤ちゃんはネイティブ並みの聴解能力を示したものの、いずれの赤ちゃんもその実験によって母語の聴解能力は一切落ちなかったと言うことです。(本書p46実験より)

普段はずっと母語漬けであれば1ヶ月5時間程度の外国語を聞いても母語には影響は出ないようです。

反対に1ヶ月5時間の聴解だけで外国語を識別できる赤ちゃんの能力は驚嘆すべきでしょう。

少ない時間で外国語を習得でき、母語に支障もきたさないのであれば幼少期のうちに外国語を聞かせていた方が良さそうです。

また、その際母語とできるだけ遠い言語を聞かせる方が音に対する認知能力は高くなると言うことです。

バイリンガル同士を集めて音認知力テストを行ったところ、英語とスペイン語のバイリンガルよりも英語と中国語、英語と韓国語のバイリンガルの方が認知力が高いと言う結果が出たのです。

先ほど母語習得により母語に関係のない音は雑音として処理するため多言語の習得が難しくなると述べましたが、裏を返せば様々な言語を聞かせれば様々な外国語の音を言語として処理する能力が高まるのです。

これは新たな外国語を学習するときに大変優位に働くと考えられます。

母国語と遠い外国語を聞くことで聞き取れる音の範囲が広がり、その結果さらに多くの外国語習得に成功する可能性があるのです。


僕自身も日本語学校で日本語を教えている時期がありましたが、トリリンガルのネパール人学習者の方が他のモノリンガル学習者よりも日本語の聞き取り能力や会話能力が明らかに高かったのは印象に残っています。

ネパールはネパールの中で多くの部族が存在し、それぞれの言語も存在します。

そのためネパール人は生まれながらにネパール語、自身の所属する部族の言葉、ヒンドゥー語、英語と多言語に接しており、このことが日本語の聴解能力にも生きるのだと考えられます。


考えてみればアジアにも中央にも幼少期から複数言語に触れ、4〜5ヶ国語ペラペラに話せる人も多くいるので「幼少期に外国語を聞かせると母語に悪影響が出る」という言説は杞憂に過ぎないでしょう。


ここまでは臨界期を迎える前の外国語学習について話しましたが、おそらく皆さんの関心事は成人してからはどのように学習を進めればいいのかということでしょう。

それについては次回触れようと思います。


2020.08.27 | コメント(0)
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