A: 一応広辞苑の定義では以下のようになっています。
「焼く」=火をつけてもやす、火に当てる、あぶる、火災で失う
「煮る」=食品などに水を加え、火にかけて熱を通す。
「炒める」=食品を少量の油を使って加熱調理する。
「茹でる」=熱湯で煮る、 幹部を湯に浸したり、湯気で温めたりする。
これを日本語学習者に説明してもわからないので、一つ一つ見ていきましょう。
「焼く」

・グリルで肉を焼く。
・オーブンでパンを焼く。
・フライパンで肉を焼く?
・鍋で魚を焼く?
・油で肉を焼く?
「焼く」は道具と共起すると不自然に聞こえます。
「焼く」は辞書の定義のように火や熱を直接当てて調理することのようです。
「炒める」

・野菜をフライパンで炒める。
・野菜をフライパンで炒める。
・野菜を油で炒める。
・グリルで魚を炒める*
・オーブンで肉を炒める*
「炒める」は火や熱を使うことまでは「焼く」と同じですが、何らかのツール(主にフライパン)を通して油で熱することと定義づけられるようです。
「茹でる」

・野菜を鍋で茹でる。
・野菜をお湯で茹でる。
・野菜をフライパンで茹でる?
・野菜を油で茹でる*
「油」と共起するととたんに不自然に感じます。
「茹でる」はお湯などの液体で熱することと定義できそうです。
「煮る」

・野菜をフライパンで煮る。
・野菜を鍋で煮る。
・野菜をグリルで煮る*
フライパンでも鍋でも違和感がありませんが、グリルのように「焼く」ツールと共起すると違和感があります。
では次の例文はどうでしょうか。
・野菜を醤油で煮る。
・野菜を味噌で煮る。
・野菜をお湯で煮る*
「お湯」と一緒に使うと通じなくなります。
「煮る」はツールに焦点が当たっているのではなく加える調味料に焦点が当たっているようです。
簡潔にまとめると
火だけを使う(火を直接当てる)のが「焼く」
火と道具(主にフライパン)と油を使うのが「炒める」
火と水(熱湯)と道具(主に鍋)を使うのが「茹でる」
火と水と道具と調味料を使うのが「煮る」
と言うことが言えそうです。
日本語学習者の誤用、質問をもとに有料noteです。
日本語教師のための文法・語彙解説書 〜その日本語、学習者にどう説明する?〜https://note.com/hayato49/n/n8262749d79e5