ティール組織とは? 〜教育機関への導入を考える〜|日本語3.0

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ティール組織とは? 〜教育機関への導入を考える〜

前回はティール組織がどういうものであるか簡単に説明しました。

『ティール組織』


従来の組織では社員はサボるものできちんと時間も場所も拘束し、監視しなければならない、そんな固定観念を打ち壊すのがティール組織です。


部署や上下関係をなくし、きちんと自由と責任、裁量権を与えれば社員は組織に所属していながら自立し、生き生きと働きだす、そんなティール組織の実態をご紹介しました。

僕も当初は最初から優秀な社員のみを集めているから収益が上がるのは当然じゃないかと懐疑的な見方をしていましたが、読み進めるうちにそうじゃないと確信しました。


環境によって人は育つと言いますが、自立性を促すような組織構造であるからこそ社員が成長し、会社への成長につながるのだと考えを改めました。

<社員の無駄遣いを防ぐ「助言システム」とは?>

さて、社員が優秀に育って効率化を図る意見が続出すると改善案が続出することになります。

「コピー機が欲しい」と社員が言い出し、全ての要求を飲んでいたらやはり収拾がつかなくなります。


そういった事態を防ぐためにティール組織で導入されているのが「助言システム」で、提案した人はそれに関わる人全てに助言を求めなければならないというものです。

形態は決まっておらず、現場での話し合いであったり、昼休み休憩であったり、会社で共有しているSNSの提示版かスラックなどビジネスチャットで問題提起し、その要求を飲むべきか否かを関係者間で議論します。


したがってみんなが安易な判断をするということはありません。

なぜなら、もし高価な機械でも導入して失敗でもすれば提案した人も助言を送った人も責任を問われることになります。

ピラミッド型組織と違って社員が組織全体を把握しているので責任の所在が明確なのです。

ティール組織では損害を被れば全員の給与や待遇に影響があるため、助言システムの元では安易な判断が下されにくいのです。


ティール組織によって全体を可視化し、個人に責任を持たせることで無駄遣いをも防ぐことができるのです。


<ティール組織が導入された教育機関>

ここまで読んで、ティール組織は自立を促し、自主経営を目指すもので人を育てるのに最適な構造だということは理解してもらえたかと思います。

ということはティール組織を教育機関に導入すればいいのではないかという考える人も出てくるでしょう。

その通りで実践例があります。

ドイツベルリンにあるESBZがそれでこのティール組織は学校教育でも導入可能で、ティール組織を採用している学校が紹介されています。


この学校では教師が壇上で一方的に話す一斉授業は一切行われておらず、FAVIが部署を廃止したのと同様、クラス制度をも廃止しています。

つまり、従来の学校のように人クラスに同じ年齢の学生が集められているのではなく7年生から9年生までが一緒の教室で学びます。

学生たちは自学したり、グループに分かれたりして上級生が下級生に勉強を教えたりすることで学習を進めます。

授業時間は決められていますが、多くの学校のように50分みんなが算数をやるということはなく、自分の得意な科目に対する勉強時間は減らし、反対に苦手な科目の勉強時間は増やすこともできます。

つまり、まさに学習者たちはどの科目をどのくらい勉強すれば結果に結びつくか学習マネジメントを養う力が求められます。


FAVI同様、全ての学生が学生であり教師であるのですが、どうしてもわからないところや遅れている学生がいたら、それをフォローするのが教師の主な役割です。

さらに「責任」「挑戦」と言った校外活動に参加します。

学生たちは「人前で恥ずかしがらずに話せるようになる」「クラスの〜君にチェスを教えて上達させる」などという目標を掲げ、自分が卒業した小学校でチェスの指し方などを指導したり、幼稚園で演劇を行ったりする学生もいます。


もちろん、成績、出席として認められ、中には自転車で旅行をする学生たちもいるということです。

学生たちは自分の持っている力をどう地域に貢献させるかに知恵を絞り、クラスメイトや教師はその手助けを行います。

こういった経験は社会に出ても大いに役立つことでしょう。


さらになんとESBZでは教師と生徒たちが一緒になって国家試験に合格するためのカリキュラムを設計しているということです。

日本のセンター試験のようなものでドイツでは12年生になると全国規模で実施され、その結果に応じて受けられる大学が決まります。

教師、学生が一丸となって外部のカリキュラムデザインの専門家を交えながら、合格への合理的な道筋を推敲し、カリキュラムを設定していきます。


教師経験もある学生がいるからなせることであり、究極のセルフマネジメントが学べ、漫然と学校を卒業する学生や卒業させる教師たちとは卒業後、雲泥の差がついていることでしょう。


ESBZは学習者の満足度も高く、優秀すぎて学校の勉強が退屈な学生や反対に従来の学校で居場所を無くした学生、移民で学校についていけない学生など多様な学生たちが在籍しています。



気になる収益構造ですが、教師たちの給与は市から90%支給されているものの校舎や設備の維持費、学生たちの活動費も全て自力で賄い、他の学校のように補助金や税制優遇措置なども一切ないということです。

学生たちが郊外活動を行う代わりに地域からの寄付金で賄っている、まさに地域社会とのギブアンドテイクの関係で成り立っています。


教育の意義が自立であるならば学生だけでなく教師も教育機関全体の自立を実現させた理想的な形であると僕は思います。


ESBZは短期間に驚異的な成果を挙げ、開講したときの生徒数はわずか16名であったものの数ヶ月で30名が集まり、数年で生徒数は500名に達したということです。


現在では生徒だけでなく世界の校長、教師、教育専門家が数百人も訪問しているということです。現代版教育のロールモデルとして注目を浴びている学校です。


<日本語学校への応用を考える>


日本語学校でも他の多くの学校と同じような構造的欠陥を抱えています。

すなわち一斉授業でできる学生はずっとできない学生はカタカナすら読めないまま中級の教科書まで進み、初級レベルの日本語も身につかないまま卒業する学生が多くいます。


特に国内の日本語学校であるならば日本語ができない人が日本社会にどんどん溢れていくというのは恐ろしいことです。


欧米では言葉ができない移民が仕事に就けずに最悪のケースでは犯罪に手を染めたり、犯罪に巻き込まれたりするケースが起きていますが日本でも今の状態が続くとそうなりかねないからです。


日本語学校でも学習効率の改善が急務なのです。

では、日本語学校にティール組織を応用するとしたらどう言った案が考えられるでしょうか。


例えばTwitterではどの教科書がいいのかを日本語教師の先生たちがしきりに議論していますが、教師が教科書を押し付けるのではなく学習者に選ばせるという手段が考えられます。


教師側も自分の教授法が1番活かせる教科書を選択し、授業を行うことで学習者も教師も自分に合った教科書、教授法で学習を進めることで学習効率向上が見込めるかもしれません。


事務と教師、教室という区分けも廃止し、SNSの使い方が上手い先生、もしくは外国語ができる先生はSNSで授業をしてフォロワーを増やせばそれを集客につなげることが可能です。

現在、コロナ禍でどの企業も集客に不安を抱えていますが、その不安を解消してくれる教師はどこでも重宝されます。

教授法だけでなくマーケッターとしての能力も磨ける教師にとってもキャリアアップ、収入アップが見込めるでしょう。


また、日本語学校はESBZ同様もっと地域社会との繋がりを構築すべきだと考えています。

地域社会に貢献する姿を地域人が見れば彼らを見る目が少しでも変わり、外国人への理解、援助が受けられるかもしれません。


以上、ざっと日本語学校にティール組織を導入するためのアイデアを書き出してみました。

長く難しく感じる本ですが、要点はまとめられたと思います。


難しいというのは難解、複雑という意味ではなく、価値観が合わず理解が追いつかなくなっている恐れがあるということです。

よほど頭がいい人でも価値観のアップデートが間に合っておらず、よくわからないという感想を持つ人もいるかもしれません。


この本を読んでチンプンカンプンだという人はその点を自覚し、読み進めればいいと思います。


2021.03.12 | コメント(0)
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