今日鬼滅の刃、劇場版を見てきました。
やはりストーリーもさることながらアニメーションの綺麗さと力強さに圧倒されましたし、声優さんもものすごく優秀できちんとキャラの魅力が引き出されていました。
自分の好きな漫画がアニメ化すると陳腐な感じがして原作の方がいいやと思うことがしばしばなのですが、鬼滅の場合はそんなことは全くなくアニメ、それぞれのキャラクターの良さがふんだんに引き出されていました。
それにしても現段階で興行収入300億円を突破しており、邦画市場一位の千と千尋の神隠しに迫る勢いです。
今回はなぜこんなにも収益を上げているのか理由について考えてみたいと思います。
なお内容が優れているというのはもちろんで、前回物語の魅力については以前述べているので参照して欲しいのですが、内容がいいから売れるということでもないのです。
視聴後 「鬼滅の刃」 〜鬼殺隊に学ぶ現代的な組織の在り方〜
http://hayato55.com/article/187164138.html
今回はマーケティングの観点から考察しようと思います。
1)テレビ放映をしなかった
従来であれば漫画がヒットしてアニメ化するというのが王道で、ヒット作の登竜門でしたが現在テレビ視聴率が低迷し、子供の数が少なくなっています。
加えて最近の子供たちはテレビではなくスマホで見る人も多くいます。
漫画からテレビ放送へというのは完全に時代錯誤で費用対効果も低いのです。
そこでアマゾンプライムやNetflixで無料放送し、続きを映画で公開してダイレクト課金するという方式に切り替えたおかげで収益を得られたのです。
2)ネタバレした
僕が小学生の頃ドラゴンボール、ドラえもん、ポケモン、ワンピースなどの映画版はテレビストーリーとは関係ない特別版が放映されていました。
しかし、最近の映画や漫画のヒット作の傾向としてはネタバレです。
前述ですが鬼滅の刃は本編アニメの続きが映画化されているのですが、漫画ではすでに単行本が出ています。
他にも「るろうに剣心」や「亜人」「東京グール」などの映画リメイク版もヒットしています。
LINE漫画でも10年以上前に流行った漫画が無料化されることで話題になり再ヒットしていますが、なぜネタバレ作品がヒットするのでしょうか。
理由として考えられるのは不景気でかつコロナ禍で財布の紐が固くなっている昨今、視聴者や読者はハズレを引きたくないということです。
僕の両親の世代は漫画をほぼ読みませんが、僕の世代はアニメ世代なので子供がいる人は子供の頃はやったもの、楽しかったコンテンツをもう一度子供と一緒に楽しみたいという人も多いと考えられます。
また僕のように理解力のない人間はいきなりストーリーを理解して楽しむというのは酷なので漫画で予習して「あのシーンはどう描かれているのかな?」という楽しみ方をしながら映画を見るほうが十分楽しめます。
3)子供向けである。
今回、紙の本が売り切れになるという前代未聞の出来事が起きました。出版不況のこの時代にです。
その理由として「家族で楽しむので」という理由が最も多いそうで、僕の知り合いの鬼滅ファンも家族で読み回しできるから紙の本で買うという人が多くいます。
もう一つの理由としては子供はスマホでクレジットカードを使って買うということができないという点が挙げられます。
したがって子供向けの本は書店で単行本を買うしかないのです。
キングコングの西野氏は絵本を書き、ネットで無料公開したことが話題になりましたが、電子書籍では子どもに読み聞かせしにくいため紙の絵本が売れたのだと考えられます。
一般に子供向けは単価が低いと思われがちですが、商材によっては子供向けを狙った方が大きな収益につながることもあるのです。
加えて子供向けの映画というのは親も同伴するので親からもお金を取れます。
日本の歴代興行収入ランキングを見てみるとほとんどがアニメなど子供向け作品です。
歴代興収ベスト100
http://www.kogyotsushin.com/archives/alltime/
映画やアニメで子供受けを狙うのはヒット作を選ぶのに重要な視点なのです。
以上、鬼滅の刃興行収入300億円の秘密を分解してみました。
ヒット作というのはその作品の原作者、アニメーター、マーケッターなど多くの人がそれぞれ力を発揮して結集して生まれた珠玉のものなのです。
そういった背景を考えながら見るのもまた楽しいと思うのでぜひ劇場に足を運んでください。