読後 「AI vs 教科書が読めない子どもたち」 〜AI時代は勝者と敗者を分けるのは読解力である〜|日本語3.0

インフォメーション

読後 「AI vs 教科書が読めない子どもたち」 〜AI時代は勝者と敗者を分けるのは読解力である〜

本日紹介する本はこちらです。

「AI vs 教科書が読めない子どもたち」


「AIによって人間の仕事のほとんどが失われる」
「シンギュラリティが起こり、人間の手を一切借りずに学び、増殖し始める」

そんな話を一度は聞いたことがあるでしょう。

中には「ロボットが自分の意思を持ち、いずれ不要になった人間たちを排除する」というSFじみた話まであります。

まずシンギュラリティの定義とはこの本によると「シンギュラリティとは自律的に、つまり人間の手をまったく借りずに自分自身より能力の高い「真の意味でのAI」を作り出すことができるようになった地点」P17だということです。

この本で述べてある回答を先に言うと「シンギュラリティなんて絶対に起こらない」と言うことです。

ちょっと安心しましたか?

でも、今ある職業の大半がなくなると言うのは本当のようです。

なぜシンギュラリティは起こらないのか、なくなる職業とはどんな職種なのか、我々人間はどんなスキルを身につけるべきなのか。

それら全てが本書に書かれていますのでぜひ要旨を理解してこれからの時代を生き抜くために行動に落とし込んでいきましょう。


<AIで生き残る仕事となくなる仕事>

AIによってなくなる仕事とはどんなものか本書でリストアップされてます。

IMG_2935.jpeg
本書p73より
見ていただければわかりますが、ほとんどがいわゆるホワイトカラーです。

銀行員だとか保険、不動産登記や自動車保険の鑑定人までがあげられているのは意外な気がします。

なぜこれらの職業が亡くなるのかを理解するためにAIがどんなものかについて理解を深めましょう。

まず、AIができるのは「統計」と「確率」です。

先ほどあげた「なくなりそうな職業」のほとんどは統計と確率がベースになる仕事です。

例えばデータ入力やテレマーケターやオペレーターは今でも半自動ですし、図書館司書の図書管理もAIの統計機能を使用した方が迅速に処理ができます。

銀行員や証券会社の仕事は融資先の競合会社がどれくらい収益を上げているのかAIで瞬時に統計データを出せ、顧客のニーズに応じた提案ができます。

株のような金融商品は人間が判断するより確率が得意なAIに予想させた方がより多い利潤をあげられます。

ではAIはどのようにして膨大なデータベースを判別するのでしょうか。

例えばAIに犬という動物を認識させるとするとまずAIに犬の写真を読み込ませて「これは犬ですよ」とインプットさせます。

しかし、AIは汎用性がないため正面から見た犬の写真を認識させても横から見た犬の写真を見ても犬だと判別できません。

もちろん、チワワを判別させたとしても次にセントバーナードを見せても判別できません。

したがって「犬」を認識させたければ全ての犬の種類を全ての角度から読み込ませなければ認識できないのです。

AIがなんらかの事象について答えを出すとき大量のデータベースが必要になってくるのです。

今まではデータベースがなかったのですが、ネットが普及して大量のデータベースを収集可能になったためAIも発達したというわけです。

儲かる株の見つけ方なら過去のデータベースが大量に必要になるため人間だと難しくAIが判断した方が早いし正確なのでデイトレーダーや証券会社の営業マンは失職する恐れがあるのです。

金融関係の人に関わらず、確率と統計が重要視されるような仕事はAIにとって代われれると考えていた方がいいでしょう。


しかし、AIも万能なわけでは決してありません。

AIにできることはあくまで統計と論理であるため、意味を理解することはできないのです。


例えばあなたも部屋に入ってきたロボットが冷蔵庫を開けて牛乳をコップに注ぐというデモをみたことがあるかもしれません。

人間にするとなんでもない行為に見えますがロボットがするとなるととてつもなく難解なのです。

ドアやドアノブの形を覚えさせなければならないし、ドアノブをひねる動作やドアを開ける動作、冷蔵庫まで移動する歩数や冷蔵庫を開けるプログラム、全て組まなければなりません。

単純に「コップに水を注ぐ」と命令しても絶対に動いてくれません。

そしてAIが理解できない究極のものが言語です。

自動翻訳機を使わなくてもPCで文字を打ち込むときに勝手にパソコンが正しく変換してくれたりしてくれるので意味を理解しているように思えます。

これは意味を理解しているのではなくAIが「この単語とこの単語の組み合わせは過去のデータベースにあり得ないな」と統計的に判断して自動変換してくれているのです。

特にGoogle翻訳はユーザーが打ち込んだ情報を日々データベース化し、そこから変換候補を抽出するため格段に進歩を遂げたのです。

意味が理解できないとどういうことが起きるのか、本書には次のような英語の問題をAIに解かせていたのですが、人間なら簡単に判断できる問題が不正解だったそうです。


@〜Eを並べて適切な文を作れ
Maiko : Did you walk to Mary’s house from here in this hot weather?
Henry : Yes. I was very thirsty when I arrived. So ( )( )( )( )( )( )drink.

@asked Acold Bfor CI Dsomething Eto

訳としては「この暑いのにあなたはメアリーの家まで歩いて行ったの?」と尋ねてヘンリーが「そうなんだ。だからついた時すごく喉が渇いていてSo ( )( )( )( )( )( )drink」と答えました。

AIは3300万文を検索して次の二つに絞り込みました。
・So cold. I asked for something to drink.(とても寒くて、飲み物を頼んだ)
・So I asked for something cold to drink.(だから冷たい飲み物を頼んだ)

どちらも文法的には間違いじゃありませんが、AIが選んだ答えは先に選出した文の方を選んでしまったのです。

人間であれば「暑い日」のはずなのに「とても寒くて飲み物を頼んだ」というのは奇怪だとすぐに分かるのですが、AIはこんな簡単な常識でさえ判断できないのです。

我々は普段意識せずとも膨大な数の常識に囲まれて生活しており、無意識で判断し行動できますが、AIはそれができません。

上の問題のように書いてある文章すら読めないのですから、言外の意図などを察することは到底できません。

AIが文章や映画を作れるようになるという話もありますが、少なくとも今は無理だし、できたとしてもずっと先だということです。

AI時代が到来しても残る職業が挙げられていますが、どれも高度な読解力やコミュニケーション力が必要とされる仕事ばかりです。

<AI時代に残る仕事>
IMG_3011.jpeg
本書p170より

したがって本書ではAIができない読解力を身につけるべきだという主張がなされているのです。


とりわけ現代は情報化社会なので良質な情報をいち早く仕入れて早く大きく動けば動くほど成功しやすくなります。

こんな時代において「読解力がない=情報を取得できない」ということなので、読解力がないのは致命的な欠陥になり得ます。

しかし、著者の新井氏が実際に実地調査した結果では現在の学生の読解力は高くないのでこれから社会に出る学生たちの仕事も無くなっていくのでは無いかと警鐘を鳴らしているのです。

読解力やコミュニケーション力がない人はAIにできない単純労働に従事するしかなくなります。

そうなればますます貧富の格差は拡大します。

だからと言ってAI導入を拒めば他国の企業がAIを使って効率化しているのに日本だけ自社だけがAIを活用しなければAIに勝つために労働時間で勝負せざるを得なくなり、結果ますます長時間労働が深刻化すると考えられます。


また、日本語教育に関わる人間として忘れてはならないのは外国人の存在です。


国内にいる外国人は失業した末、生活に困って犯罪に手を染めてしまうケースが増加していますが、情報化社会が加速していく中で日本人との情報格差はますます広がっていくことが懸念されます。

成功している人は行動力も当然ありますが、やはり持っている情報量が豊富です。

日本語教育関係者がICT化によって日本語教育を効率化するかICT教育を施して自国の情報でも取得できるようにしなければ情報格差がそのまま日本人との貧富の格差に直結し、問題は深刻化していくでしょう。

「AI vs 教科書が読めない子どもたち」

2020.11.26 | コメント(0)
コメントを書く

お名前

メールアドレス(非公開)

ウェブサイトアドレス

コメント

この記事へのコメント
テキストや画像等すべての転載転用販売を固く禁じます
Copyright © 日本語3.0 All Rights Reserved.