サッカー漫画 「 アオアシ 」  に学ぶ教育者像 A 〜選手も指導者も未熟である〜|日本語3.0

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サッカー漫画 「 アオアシ 」  に学ぶ教育者像 A 〜選手も指導者も未熟である〜


前回の「サッカー漫画 「 アオアシ 」  に学ぶ教育者像 @ 〜教えすぎない、欠点は直させない等〜」の続きの記事です。
http://hayato55.com/article/187728908.html

5、チームと自分のビジョンと課題を共有する。

福田監督はユースにおける一台大会プレミアリーグが近くにつれ、サブのメンバーの育成に力を入れます。

コーチ陣や主力メンバーはそれを訝しみ、不満に思いますが、福田監督はこう言います。

「強いチームの条件はサブも強いことだ。今サブと主力メンバーの力の差が大きいことに責任を感じている」
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それを聞いたサブ組はみんな自分がどうすればレギュラーになれるのかを必死で考え、個人練習を始めます。

練習の時レギュラー組は当然サブのメンバーと練習をします。

ゆえにサブメンバーが弱すぎると練習にならないし、自分が追い抜かされるかもという危機感も覚えないので強くなれません。

また、主力にけが人が出た場合、サブメンバーが弱いと一気にチームが弱体化します。

名指導者はメンバー一人一人を見ることも大事なのですが、全体を見渡して課題を見つけることも大事です。

そしてその課題をみんなに共有し、そのために一人一人がどうすればいいのかを考え改善させます。

一人一人のそんな動きが個々のレベルアップにもつながりひいてはチーム全体のレベルアップにもつながるのです。

「アオアシ 14」


6、意味ある実践的な練習を提供する  

「サブは弱すぎる」

そう言われた一年生組はそれぞれの課題を考え連日夜練を始めます。

寮の門限を破ってまで夜練に励む一年生たちをたまたま目撃した福田監督は葦人たちにある特別メニューを与えます。

DF四人にロープを持たせてそれを離さないように守備をさせるというものです。

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サッカーの守備の役割は組織的に行い、相手のパスの出しどころやシュートコースを防ぐことですが、そのためにはDF同士の横の距離感が極めて重要になってきます。

ロープが離れた=適切な距離感を保てていないということなのでその距離感を無意識で保てるためにユニークで有効な練習メニューです。

この練習はDFに転向したばかりの葦人にとってはとても有益なもので、それまで個としてしかサッカーができなかった彼が組織としてのサッカーを意識し始めるきっかけになりました。

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意味ある実践的な指導をするというのは当たり前のように思えますが、教師、指導者の中には目的も考えずに「決まっているから」という理由で闇雲に練習や課題をさせる人もいます。

指導者にとっても指導される側にとっても時間の無駄なので、思い当たる節があったらすぐにやめましょう。

このエピソードは14巻から抜粋したものです。*
「アオアシ 14」


7、一気に全部教えない。その人のレベルにあったものを一つずつ教える

ある試合で葦人のチームが初めて一年生主体のチームでユースのプレミアリーグに臨んだ時の話です。

一年生主体となったのは連日の猛練習で一年生が大幅に力をつけたこともありますが、U-18の海外選抜のために主力が抜けたからでした。

一年生主体のチームで圧倒的不利だと思われた葦人のチームでしたが、連日の夜練特にロープ練習の効果が絶大で、DF同士が絶妙な距離を保ち、安定した守備をしました。

そこでGKの先輩からこんなアドバイスが飛んできます。

「一年生!もっと縦との距離も意識していこうや!」
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初めて公式戦に出た一年生の守備は素晴らしかったものの、ずっと相手チームの圧力に悩まされていました。

DFラインは頑丈だったものの縦の距離が意識できていなかったせいで中盤がスカスカで相手に攻め込まれていたのです。

また縦との距離が意識できれば、安易なクリアだけで終わるのではなくカウンターも狙うことができます。

先輩GKのアドバイスによってDFラインの一年生たちはそれに気付かされたのです。

ではなぜ先輩や監督はそれについてアドバイスしなかったのでしょうか。

人間が一つのことを覚え、実践まで持っていくには相当の時間がかかります。

なので一度にすべてのことを教えてもすべて消化できないのです。

しかもサッカーはチーム戦、みんなができるようにならなければなりません。

DFはまず横との連携が最重要、次に縦との距離、したがって先輩たちや監督は一年生がまずは横との連携ができているかどうかを見極めてから縦との距離についてアドバイスしたのです。
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この試合には二年の桐木というエースも出場していたのですが、彼はこの時初めてU-18の選抜から落選し、ショックを覚えていたところへ一年生主体のこのチームを率いて勝利をつかむことを言いつけられていました。

桐木は足元の技術もあり、スピードもあるのでボールを持てば決して取られず、パスの精度もプロ並みに精巧なものでしたが、この試合に限ってはなかなか彼にボールが集まらず、ボールが渡ってもパスミスになる、その繰り返しでした。

しかし、実は彼に原因があるのではなく彼のチームメイトに原因がありつまり、味方が走るべきところに走っていないのが原因だったのです。

自分のレベルに追いついてこれないチームメイトばかりだとしたら、あなたは次の3択のうちのどれを選びますか?

@レベルを下げてパスをつなぐ
Aドリブルで突破する
B自分のレベルのパスを打ち続ける

福田監督はこのうちの最も最悪な選択肢を選んだ場合、エースの桐木を交代させると言っていますが、あなたはどうでしょうか?

正解はBの「自分のレベルのパスを打ち続ける」です。

「えっ!」と思った方もいるかもしれません。

勝つためには@の「レベルを下げてパスをつなぐ」の方が良さそうな気がします。

しかし、ユースの最も大事な使命は選手が育つことなのです。

なのでずっとレベルの低い要求をしているとチームメイトは成長しませんし、自分だけでなくチームの成長に貢献できる選手こそが貴重なのです。


プロになるのに成長する気も追いつく努力もしない選手の方が悪いし、逆にレベルを下げたパスやプレイをするとその人の評価まで下がってしまいます。

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相手に合わせたアドバイスが大事だと言いましたが、必ず相手が成長するようなアドバイスや要求であることが重要で、高いレベルのパスが出せる選手の評価は下がらないので安心して自分のプレイを貫けばいいのです。

このエピソードは16巻から抜粋したものです。*
「アオアシ 16」


8、指導者も未熟であると自覚する。

これまで名指導者の条件について述べてきましたが、これが最重要項目かもしれません。

福田監督の名言で

「選手たちは未熟だ。そして俺たちも未熟だ」
ということです。
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今まで名指導者の条件を述べてきましたが、これらは当然相手の個性や能力によって指導方法が変わるし、時代の変化によっても変わってきます。

名指導者は何かの指導法やルールに当てはめて考えるのではなくその人にとって適切な指導法を常に考え、成長することこそが選手の成長にもつながるのです。

2020.07.28 | コメント(0)
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