サッカー漫画 「 アオアシ 」  に学ぶ教育者像 @ 〜教えすぎない、欠点は直させない等〜|日本語3.0

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サッカー漫画 「 アオアシ 」  に学ぶ教育者像 @ 〜教えすぎない、欠点は直させない等〜


最近、サッカー漫画の「アオアシ」にはまってます。

「アオアシ 1」


サッカーのユースチームを題材にしている漫画で、はっきり言って今まで読んだサッカー漫画で一番ハマりました。


この漫画の素晴らしいところは従来の漫画では選手にスポットが当たっていたのですが、監督の重要性にも触れているところです。

この漫画に出てくる監督はとてつもない名コーチで、教育者はもちろん部下を抱えている人や後輩を指導する立場にいる人は是非読んで生かしたほうがいいと思います。


今回は監督に焦点を当てて、指導者が学ぶべき8項目を抜粋しました。

1、その人の得意分野、才能を見つける。
2、その人の欠点を無理に直させず才能が生きる場所を提供する
3、信頼を得るためには褒める。褒めるときは具体的に
4、教えすぎない。少し難しい課題を課して考えさせる。
5、意味ある面白い練習を提供する  
6、チームと自分のビジョンと課題を共有する。
7、一気に全部教えずその人のレベルにあったものを一つずつ教える
8、指導者も未熟であると自覚する。

これらができれば間違いなく後輩や部下、学生のあなたに対する信頼度は上がり、チーム全体も強くなることでしょう。

では早速行きましょう。

1、その人の得意分野、才能を見つける。

物語は名コーチ福田達也が主人公葦人を発掘するところから始まります。

どのような場面かというと福田は元プロサッカー選手、海外クラブにまでオファーされるほどの名選手でしたが、怪我による現役引退を余儀なくされ、現在はユースの監督として采配を振るっていました。

ユースのメンバー獲得のため全国を回っており、その日は愛媛の中学校でサッカーの試合を見ていました。

そこで一人の少年に注目しました。

その少年が葦人です。

葦人の足元の技術はユースになるには程遠いレベルでしたが、不思議なことに彼の元にボールが集まっており、フィニッシュまで決めているのです。

得点全部に絡む活躍をして彼だけがサッカーをしているような有様でした。

技術は拙いのにまるでボールが来る場所を知っているかのようにプレイする、そんな葦人に疑問を持ち、試合後にゴールシーンについて「なぜこぼれ球が来るのがわかったんだ?」と質問したのです。

すると葦人はコインを使って敵の位置と味方の位置を示し、そこに動けばボールが来るということを読んで動いたと述べました。

つまり、驚くべきことに葦人はたまたま問われた1シーンの敵味方全員の位置を覚えていたのです。
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「それがなんだ?みんなの位置を把握しないとパスが出せないし、当たり前では?」

と思う人もいるかもしれません。

確かに我々はよくサッカーを見ていて「あそこにパス出せばいいのに!」と思ったことがあるでしょう。

しかし、我々が上空から見ているのと実際にフィールドで立って平面で見渡すのとでは全く風景が違います。

その上、1秒で敵味方の位置は全然変わってしまうので、ある瞬間の敵味方の位置を全て覚えているというのはもはや神業なのです。

ゲームを俯瞰してみるということは言うは易しで、化け物ぞろいの海外サッカーでもできる選手はほとんどおらず、世界的にもかなり貴重であることが知られています。

その中でもスペイン代表のシャビという選手が俯瞰の目を持っているのが有名ですが、NHKがシャビの視野の広さを検証した番組がこの漫画で紹介されています。

どう言うものかと言うと紅白戦でシャビの頭部に小型カメラをつけ、彼が目にする光景を全てカメラに収めます。

試合後シャビにこのカメラの映像を見せ、ランダムで映像を止め、その時の味方の位置をどれほど覚えていたのかマーキングしてもらったところ、フィールド上にいる味方どころか敵の位置も全て正確に覚えていたのです。

1秒で全く選手たちの位置は変わるのにも関わらずにわかには信じられない実験結果で、他の選手に同様の実験をしても周囲のせいぜい2〜3人の位置しか当てられませんでした。


俯瞰の目を持つ選手は世界的にもそれだけ貴重なのです。


福田監督が足元の技術力のみで選手を判断していればスペイン代表並みの能力を持つ葦人の発掘はなかったでしょう。

その人自身はそれが当たり前だと思っているので才能というものはなかなか発掘されず、一生地に埋もれたまま終わる人も多いでしょう。

才能を見抜く、これが名指導者の条件の一つ目です。

このエピソードは1巻から抜粋したものです。*
「アオアシ 1」


2、才能を見つけた上でその人の能力が生きる場所を見つける。


葦人は無事、ユースに合格するのですが、葦人には致命的な欠陥がありました。

先ほども触れた足元の技術、ボールコントロール技術が他の選手に大きく劣っていたのです。

葦人もすぐにそれに気づき、懸命に努力し、改善していくものの、幼い頃からサッカーの英才教育を受けてきた選手たちとの差はなかなか埋まりません。


そのため、福田監督以外の多くのコーチ陣は葦人にプロは無理だと判断していました。

入団後しばらくして福田監督は葦人をFWからサイドバック(ディフェンス)に転向させます。

点を取るのが生き甲斐だった葦人はショックを受け、到底納得できないものでした。

しかし、この転向は福田監督の思惑で、葦人の俯瞰の目は前線よりもフィールド全体を見渡せる後方の方が生きると判断したからだったのです。

近年のサッカーではドイツのラーム選手やブラジルのロベルトカルロス選手やマルセロ選手など攻撃的サイドバックは多くいます。

彼らは味方がピンチの時は必ずゴール前に駆けつけ、チャンスと見るやオーバーラップしてボールを受けセンタリングを上げたり、直接ゴールをしたりします。

全体を見渡す力があるからこそ守り時と攻め時がわかるのです。

そして、後方からだからこそフィールド全体が見渡せるのです。

実際、この采配のおかげで葦人は攻撃的センターバックとして驚くべき成長を遂げていくのです。

弱点は弱点ではなく個性と捉え、無理に直してももともと得意な人には勝てません。

それよりもその人の長所がどこであれば生き、短所が隠れるのかを考えて配置してやるのが良きリーダーの条件です。

このエピソードは6巻から抜粋したものです。*
「アオアシ 6」


3. 信頼を得るためには褒める。褒めるときは具体的に
相手に成長して欲しければ悪いところを指摘するのも大事ですが、いいところも見つけて褒めなければなりません。

ユース新入生には冨樫という元暴走族の不良少年もいます。

体感も強くボールコントロール技術も高いものの素行が悪く、暴走行為を繰り返していました。

監督や教師から邪険に扱われ、不遇の日々を過ごしていましたが、この年唯一スカウト枠でユースに入りました。

チームでもしばらくは浮いた存在でしたが、ユース下位チームの望コーチに出会うことで少しずつ変わっていきます。

望コーチは見た目通りとても厳しく過酷な指導やメニューをして、悪いところは忖度なく指摘する反面、選手をよく見ているため選手のいいところも的確に見いだすこともできます。

望コーチは冨樫選手の実力を認め、以下のようなアドバイスをしていきます。

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選手として成長するためにはもちろん欠点を直すのも大切ですが、どのようなプレーがいいのかもちゃんと伝えなければなりません。

でないとそれを守り、伸ばすことができません。

褒めるといってもこの望コーチのように具体的にどの場面のどんなところが良かったのかを伝えなければただのおべんちゃらになってしまい、効果はありません。

的確に褒めることの利点はもう一つ、信頼関係が生まれる点です。

人間誰しも悪いところばかり指摘されると嫌になり、やる気もなくなるものです。

今まで指導者に邪険に扱われていた冨樫選手はそれでますます非行に走っていました。

しかし、自分を認めてくれる望コーチに出会うことで次第にこのコーチのために頑張りたいという気持ちが生まれ、苦手なチームメイトとも積極的にコミュニケーションをとるようになります。

相手を認めてあげることで指導者も認められ、指導者のために奮起してくれる、そしてそれが本人の成長、チームの勝利にもつながるのです。

「アオアシ 11」


4、教えすぎない。少し難しい課題を課して考えさせる。

名教師、名監督といえば教え方が上手い人や説明が上手い人を思い浮かべるかもしれませんが、本当に優秀な指導者教えすぎない人です。

葦人と他のユースメンバーがユースで下位のBチームからAチームに昇格した際、チーム練習をしたのですが、全くレベルが違い、ボールスピードについていけませんでした。

自信を喪失しかける彼らに対して監督やコーチ陣は何も言いません。

実はこれも彼らの方針ですぐに答えを教えるのではなく本人に考えさせることが目的だったのです。

では考えさせるためにはどうすればいいかというとその人のレベルより少し難しい課題を与えるのです。

福田監督は足とたちには少し難しいAチームの課題に挑戦させ、敗北させました。

そこで何が足りないのか、どこが通用しないのか、なぜボールについていけないかを必死で考えさせるきっかけを与えるのです。

なぜ教えすぎるのが良くないのかというと理由は2つあります。

一つは教えすぎると正解を探す人間になってしまい、そのコーチと離れれば途端に何もできなくなってしまいます。

ユースだけでなく教育の意義は自立で自立とはつまり自分で思考し行動し、改善し、成長ていくことです。

そのためには正解をわかりやすく教えるのではなく考えさせる環境や課題を与える、それが名指導者というものです。

「正解をさっさと教えるなんて指導者の怠慢さ。考えさせることに意義がある。」
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二つ目は自分で見つけた答えは忘れないからです。

学校の授業で10年以上受けても卒業した頃にはほとんどのことを忘れているでしょう。
先生が1から全て教えているからです。

教育者は学習者に自ら考えさせて自分で成長していける環境を整え、必要な時にのみアドバイスをすればいいのです。

「自分でつかんだ答えなら一生忘れない」
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続きはまた次回*

2020.07.24 | コメント(0)
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