なぜ学習者は「は」と「が」を混同するのか。  〜主格と主題の違い〜|日本語3.0

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なぜ学習者は「は」と「が」を混同するのか。  〜主格と主題の違い〜


「は」と「が」の習得は日本語学習者にとって習得困難な項目のうちの
一つである。

初級の学習者はもちろん、中上級の学習者の作文にも
誤用が散見される。


間違いの原因は何か、そもそも「は」と「が」の違いは何かについてまとめた。

『日本人のための日本語文法』


『日本語』金田一春彦



日本語文の典型的な構造は「主題+(主題の説明)」である。

つまり「〜について説明すると〜」という構造になっており、
主題を表す助詞が「は」である。


対して「が」は「主格」つまり動作や変化の主体を表し、
本来全く別の役割を果たすものである。
(主語とも)


・田中さんがキッチンでカレーを作っている。

「田中さん」を強調したければ主格「が」の「田中さん」を
以下のように主題化することができる。

田中さんはキッチンでカレーを作っている。

続いて所格「で」を主題化すると以下のようになる。

キッチンでは田中さんがカレーを作っている。

対格「を」を主題化すると以下のようになる。

カレーは田中さんがキッチンで作っている。


筆者が担当している初級学習者は「誰は来ますか?」と発話したが
これは「は(主題)」と「が(主格)」の役割を混同したのだと
考えられる。


格助詞は主題化するとそれぞれ以下のように変化する。

「が」→「は」、「を」→「は」、「に」→「は・には」、
「で」→「で・では」、「と」→「は・とは」、「へ」→「は・へは」
「から」→「は・からは」、「まで」→「は・までは」、
「より」→「は・よりは」


つまり、

・「が」「を」→「は」
・その他の格助詞→「は」または「格助詞+は」

ということになる。


したがって「が」「を」は主題化すると消えるため主題化の意図が
伝わりにくく、この点が学習者の混乱を招く一因だと考えられる。


特に「みんなの日本語」は「私は〜です」の導入から始まり、
主格の「が」の出現は存在文まで待たなければならない。


「が」格は主格であるため他の格に比べて主題になりやすいにも関わらず、
学習者が主格本来の形である「が」を教科書で見る機会が少なければ
「は」が英語で言う主格のことだと誤解する学習者も出てきても不思議ではない。


解決策として学習者が「は」と「が」を混同しないために「は」は主題化であると
早めに認識させる必要がある。

冒頭で挙げた「田中さんがキッチンでカレーを作っている」のような例文を

「田中さんはキッチンでカレーを作っている」
「キッチンでは田中さんがカレーを作っている」
「カレーは田中さんがキッチンで作っている」

などどんな格成分でも主題化出来ることで混乱する学習者は減ると考えられる。


ところでなぜ「が」「を」格は「がは」「をは」と言う形で存在しないのか。

それは他の格助詞に比べて述語との結びつきが強く、それに対して
他の格助詞は述語との結びつきが弱く省略すると意味が伝わりにくいからだ
と考えられる。


以下の例を参照されたい。

1)太郎は家から来る。
2)家は太郎が来る。

1)についていえば「太郎は」の「は」は「が格」の主題化であると
容易に判断できるが、2)の「は」は「には」「からは」「までは」なのか
いかようにも解釈できる。


したがって述語によって決まる格助詞「が」「を」以外は
主題化した際に格助詞が必要になってくると考えられる。


<主格と主語の違い>

ここまで日本語文法では「主題ー解説」という構成であり、
主題は格成分の中からテーマの中心としたい格を選び、
主格はその格成分の中のうちの一つであると説明してきた。


しかし、義務教育で習う国文法では「日本語は主語と述語」という
構成であるという説明が一般的であり、そのため「主語=動作や変化の主体」
という概念が我々には深く染み付いている。

実際「主格とは主語のことである」と主語と主格を同義に扱う場合もあるが、
厳密には主語は欧米圏から入ってきた概念であり
欧米圏の言語のように主題と主格が一体化したものを指す。


格成分であれば何でも主題化できる日本語においては
「主語」という言葉は的確ではないと考えられる。


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2019.06.19 | コメント(0)
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