なぜJLPT合格者が日本語を話せないのか 〜教科書に原因を見出す〜|日本語3.0

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なぜJLPT合格者が日本語を話せないのか 〜教科書に原因を見出す〜


近年、日本企業は空前の人出不足に陥っており
外国人労働者の受け入れに前向きになってきている。


それに伴い企業の間でも日本語能力試験の認知度が
上がってきている。


しかし、日本語能力試験の成績とコミュニケーション能力は
必ずしも比例しない。


能力試験2級に合格していても発話させると初級レベルの発話しかできない
という学生も散見される。


学習者の置かれた環境や状況、性格など様々な理由が考えられるが、
今回は教科書に焦点を当て考察を試みた。


学習者が言語を習得し、日常会話ができるようになるためには
3つの能力が必要だとされる。


即ち「言語能力」「社会言語能力」「社会文化能力」である。


「言語能力」とは文法や語彙など対象言語に対する知識であり、
「社会言語能力」はその言語能力を運用する能力である。


「社会文化能力」はコミュニケーションを成立させるために
必要な知識であり、敬語や文化的背景などがこれに該当する。


しかし、主要なテキストである「みんなの日本語」などでは
文型が使用されている場面や状況が伝わりにくく
後からどの場面でどの文型を使えばいいのか復習するときに
探しにくいと考えられる。

<「みんなの日本語」>


「みんなの日本語」のような文型積立型テキストは
「言語能力」習得のみに重きを置いてあり「社会言語能力」
「社会文化能力」を育む上では適切な教材とは言えない。


また、文型を教えることに重点を置きすぎ、
ともすれば例文が不自然な箇所も散見される。


「言語能力」はもちろん「社会言語能力」「社会文化能力」の要素を
取り入れた場面シラバスの教科書が望ましいのである。


今回は場面シラバスの要素を取り入れた「文化初級日本語」の中身を
紹介し、検証する。

「文化初級日本語」


全体的にページを見ればすぐにどんな場面でどんな会話を
しているのか想像しやすく工夫してあり、
復習する際にもどの項目を見ればいいのかすぐにわかりやすい。


ただし、第1課から4課までは場面を設定させないものであった。

1課では日時の紹介、2、3課はものや所有主を訪ねたり、
4課は形容詞の例を挙げるにとどまっている。


日本語を学習する上で最小限の必要項目を学習することを
目的としているからだと考えられる。


問題点として5課「案内の場面」を設定しているが、
本文は妻の伝言を夫が読むという実用性、汎用性に乏しい設定もあった。


また、9課「留学生に寮の使用法について説明する」
16課「医者にかかる」、22課「アルバイトをする」という場面があり、
留学生にとっては有益な内容もあるが、
一方で6課は「お見合いをする」、8課「インタビューを受ける」など
日常で学習者が遭遇しにくい場面を設定している。


文法や習得順序に引っ張られた結果かもしくは
観光目的に来る学習者を想定したものなのか
留学生を想定したものなのか不明瞭なことがその理由だろう。


解決策の一つは動画教材だろう。

イラストを使って、あるいは役者が演じながら文型提示すると
自ずと場面も明確になると考えられる。


当然、場面に執着しすぎて習得順序を無視してしまうのは
本末転倒である。


まず場面を設定し、習得順序を考慮しながら文型を配置していくことが
これからの教材づくりを進める上で重要である。


今後の教材づくりに生かしていきたい。

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2019.05.26 | コメント(0)
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