助詞省略の条件 @ 「は」 の場合|日本語3.0

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助詞省略の条件 @ 「は」 の場合


一般に日本語学習者にとって助詞の習得は困難で、
上級者レベルの作文でも助詞の誤用が散見される。


一方で日常生活においては助詞の省略は高頻度で行われ、
学習者が日本人が助詞を省略して話していることに気づくのは意外に早い。


このことは日本国内で就労する留学生にとって重要で優先的な項目である。

にも関わらず助詞の省略の法則性を反映した教科書は管見の限りない。


助詞の省略はいつどのような時に行われるか、
またどんな助詞が省略されるのか総論をまとめた。

<酵素ドリンク 〜いくら食べても翌日胃もたれしなくなりました>


<助詞が省略される場面>

まず、どの様な助詞が省略されやすいのか。

助詞の省略は主に日常会話において行われるため
前田(1998)はドラマを元にどの助詞が省略されやすいのか調査している。


それによると省略された助詞は「は」が一番多く、
次に「を」「が」「に」の順に省略が少なくなっていった。

なぜこの順番に助詞が省略されやすいのだろうか。

それぞれの助詞はどのような場合に省略され、どのような場合に
省略不可能なのだろうか。

まず一番省略の多かった「は」についてである。

<「は」の省略について>

「は」の省略に関する先行研究をまとめると「は」が省略できる場合は

「身近なものや相手と共有している事実が主題になった場合」

とされている。
(筒井通雄 1984、丹羽哲也 1989、甲斐ますみ 1991、長谷川ユリ 1993など)

対比の役割を果たす「は」はこれに該当しない。

ところがこの定義では割り切れない例がある。
次の例文を参照されたい。

 A:おじさんの誕生日、いつだったかな。
 B:おじさんの誕生日、28日だよ。

これはおじさんという共通の概念を話題に挙げているが、
無助詞でも違和感はない。しかし、次の例はいかがだろうか。

 A: おじさんの誕生日いつですか。?
 B: おじさんの誕生日28日です*

どちらの文も違和感があるが特に後の文は違和感がある。

・私若いのよ。
・私若いです*

・父さん賛成するよ。
・父さん賛成する*

前者の文は自然だがやはり後の文は日本人の文としては不自然である。

このように「は」省略の条件は先の条件に加えて
「砕けた文体を使用した会話文である」と再定義できる。


これは主題の「は」だけでなく本来省略することができないとされる
対立を表す「は」についても同様である。

・太郎きましたけど、花子こなかった *
・太郎来たけど、花子こなかったよ。

本来省略できない対立の「は」であっても
会話文にするだけで「は」が省略可能となる。


ただし下の例では絶対に省略できない。

A:これ、何?
B:それ、友達からのプレゼント
A:あれ*?(は)

最後の「あれは」のあとは「何?」「何ですか?」がすでに
省略されているため省略は不可能である。


まとめると「は」が省略できる条件は相手と主題が共有されている場合と
会話文の終助詞がある場合であると結論づけできそうである。

<助詞「は」省略の意味するところ>

前項までは助詞「は」が省略される場合について触れた。

次は「は」を省略することでどの様な意味が生じるかあるいは
損なわれるのかを述べる。

「は」は主題として取り上げ、焦点を当てる役割を果たす。

a 今日は買い物に行かない
b 今日、買い物に行かない

aは「買い物に行くが今日ではない」という意味が明白であり、同時に
「昨日買い物に行った」ことや「明日買い物に行く」という意味が含意される。

一方bは「今日買い物に行く」ということのみを否定しており
それ以上の意味は含まれない。

c 明日のパーティーに留学生が8人は来るよ。
d 明日のパーティーに留学生が8人来るよ。

e ケーキ全部は食べない。
f ケーキは全部食べない。

これらの例文において「は」の有る無しではそれぞれ意味において
差異が見受けられる。

cは8人以上来ることを示唆しているがdは8人来ることを述べており、
eは部分否定であり、fは全否定を表す。


さらに助詞を復元する際に「は」「を」「が」のどれがいいのか
決定困難な例文もある。

g これ(無・は・が)私の連絡先です。
h あんたの顔(無・は・を)見たくない。
i 奥歯(無・は・を)ガタガタのくせに。
j ご主人(無・は・が)喜ばれたんじゃないですか。


hは「は」を使用すると「他の誰でもないあんたの顔についていうと」
という主題化の意味になり、「を」を用いると主題化の意味は薄まり、
焦点化の意味が強まる。


無助詞だと「は」の持つ主題化の意味も若干含意するが、ニュアンスは
弱まり、「を」の持つ焦点化のニュアンスも若干含む。

いわば助詞を省略することで「は」と「を」の中間的な役割を果たし、
曖昧性が増すと言えそうである。


次回は「を」「が」「に」の省略について述べ総論をまとめる。


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2019.02.10 | コメント(0)
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