日本語の教材をアップデートせよ @ 〜教材開発が望まれる背景〜|日本語3.0

インフォメーション

日本語の教材をアップデートせよ @ 〜教材開発が望まれる背景〜


筆者が務めていた日本語学校の学習者は中国、ベトナム、ネパール、
スリランカ、モンゴルと多国籍であった。


1972年の日中国交化以降、日本語学習者は漢字圏が主だったが、
近年は大きく様相が変化した。


グローバル化が進んだことにより企業が海外進出し、
アジアで日本語話者の需要が高まったことに加え、日本国内の生産人口の
減少により労働力確保のための出稼ぎ留学生や技能実習生が増加した。


その結果、国内の日本語学習者が多様化したのである。


またネット上で日本のアニメやドラマなどサブカルチャーに触れることが
可能になり日本語に関心を持つ学習者も増えていると考えられる。


にも関わらず、日本語学校では従来と同じ教科書が使用されている。


非漢字圏の学習者が漢字圏の学習者が同じペース、
同じ教科書で学習していけば必ず差が開くのは自明である。


現在の時代状況に適した教材について考察し、総論をまとめた。


ほしい物リスト公開を始めました。
食料品を恵んでいただけると食費が浮くので助かります。

「ほしい物リスト」
http://amzn.asia/6D79MOV

リストに載っている本をプレゼントしていただいたら
書評にしてブログにアップします。


『SNSで外国語をマスターする冒険家メソッド』 村上吉文


<何から始めるべきか>

日本語教育は一般に日本語文法や語彙、第二言語習得理論、など高度かつ
多様なスキルが求められる。


教材開発に携わるとなれば音声やデザインのリソース探す能力や
それらを編集する能力も必要になってくる。


そのため従来のように紙の教科書を開発するのであればチームで
開発することが望ましかったが、現在ネット上のツールを使用することにより
著作権フリーの音声や写真や絵教材、録画や動画編集ソフトなど
様々なツールが充実してきている。


そのため教材に教師個人のオリジナリティや個性を反映させたいのであれば
個人でネット日本語教材を製作することも可能である。


ネット教材は多様な学習者が各々のペースで学習を進めることができるため、
学習者から見ても最適だと言える。


後述する理由からも本記事ではネット教材の開発を推奨する。


実際に教材開発を進めるにあたってインストラクショナル・デザインの
概念が重要になってくる。


インストラクショナル・デザインとは教育を効果的かつ効率的に
設計し、実施するための方法論であり、以下のプロセスを指す。


・計画(Plan)→ 実行(Do)→ 評価(See)


ゼロから教材開発を始めるのは基準がなく難航が予想されるため、
ここでは評価(See)つまり、現状の教材分析から始めることを推奨する。

・評価(See) → 計画(Plan)→ 実行(Do)→ 評価(See)



・評価(See)

現在使用している、または使用経験のある教材のコースシラバスや教材を
元にした授業案やテストなど分析すべき点を考察する。


教材作成者がどのような意図で教材を作成したのかを読み取り、
評価できる点や課題点を明確に把握し、どう改善すればいいのか整理する。


・設計と計画(Plan)

教材の構成やシラバスなど骨格となる部分を決める重要な段階であり、
教材の意図を明確にすることが求められる。

「誰に教えるのか」「教材を使う人がどんな人なのか」という入り口を設定し、
学習者が教材を通して何ができるようになるのかという出口を設定する。

日常会話ができるようになることが目的なのか、
能力試験合格が目的なのかを明確にする。

方針が決めた後にどのような順番で何を教えるのかを決める。


・開発と実行(Do)

Planを踏まえて教材を開発する。

チームでなら綿密に打ち合わせをしながら互いの作業の進捗具合を
確認し、作業を進める。


最初から完成版を作ると訂正が困難になるため、1〜3章ごとに
プロトタイプを作り適宜現場で使用し学習者の評価を得る。


・評価(See)

教材を実際に現場で使ってもらい、使い心地や見やすさ、わかりやすさなど
うまくいっているか否か評価し、次への改善の糧にする。


その際、教育評論家や教師などに評価してもらうのではなく
学習者に評価してもらうことが必要になる。


既存の教材よりも改善できたことを証明する評価システムが必要である。


<所見>

以上、教材開発の流れを見てきた。


改善点を把握した後は改定が望ましいが、紙の教科書では改訂の度に
プロジェクトメンバーを集めて教材作成作業をし直し、増刷すれば
時間もコストもかかるため、十数年に1度の改訂しか行われなかった。


しかし、現在は個人でネット教材を製作することも可能である。


ネット教材であれば評価の際、グーグルフォームでテストや
アンケートを作成して学習者に配布すればデータの集計も回収も迅速にできる。


また、SNSでの動画教材であれば再生回数や「いいね」の数やコメントなどで
教材の評価が得られる。


教材開発から評価までの流れである
評価(See) → 計画(Plan)→ 実行(Do)→ 評価(See)
のサイクルが回りやすく、評価後の改訂作業も紙の教科書のように
数十万部も増刷する必要がない。


その上、改訂版を即座に全世界的にアップロードできるため極めて効率的である。


教師一人一人が各々の裁量でネットで情報発信をしていけば
マネタイズもでき処遇改善にも繋がるだろう。


次回は教材を作成する際の「言語学習の捉え方」について考察を試みる。


*noteでもブログと同じ記事の内容を整理して公開しております。
https://note.mu/hayato49

この記事を気に入っていただいたら
下のバナーをクリックして
ランキング応援よろしくお願いします。
 ↓  ↓

人気ブログランキング

2019.01.15 | コメント(0)
コメントを書く

お名前

メールアドレス(非公開)

ウェブサイトアドレス

コメント

この記事へのコメント
テキストや画像等すべての転載転用販売を固く禁じます
Copyright © 日本語3.0 All Rights Reserved.