既知と未知で分類する「は」と「が」の違い|日本語3.0

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既知と未知で分類する「は」と「が」の違い


筆者が以前ゼロ初級のギリシャ人学習者に日本語を教えていた時、
「誰はご飯を食べますか?」
と言う誤文を発していた。


推測するに「は」が一般言語でいうところの「主語」であると思っていたらしい。

「は」と「が」の使い分けは上級の日本語学習者でも難しく
最も習得が困難な項目のうちの一つであるというデータがある(2005 遠山)


大野は「は」と「が」の違いは既知と未知という概念で説明を試みている。


『日本語の文法を考える』 大野晋

『SNSで外国語をマスターする冒険家メソッド』 村上吉文


文というものは基本的には相手が知らないことを伝えるために作られる。

その組み合わせは常に未知の概念だけで成り立つのではなく
未知のものと既知のものを組み合わせて使う。


必然的に分の組み合わせは次の4通りに分類される。

@既知と無知「は」
A既知と既知「は」
B未知と既知「が」
C未知と未知「が」

端的に言うと「既知」と「は」が結びつき「未知」と「が」が
結びつくことになる。

以下、詳しく見ていく。


@既知と無知「は」

一般的に初対面の人を相手にして自己紹介する場合、
「私佐藤です」
と「は」を用いて自己紹介をする。

この「は」はいわゆる主題の用法であり、
「私」はどういうものかというと「佐藤です」という意味がある。


したがって「は」の前件は主題で後件の内容は説明になる。

この場合であれば「私」はもうすでにみんなの前に顔を見せて話しているため
「既知」の概念であり、後件が説明にあたるため未知の部分になる。


冒頭のギリシャ人学習者の誤文のように
「は」の前に「誰」「何」のような未知の概念を表す疑問詞が来ることはない。

学習者はこの「既知」と「未知」の概念を理解していなかったからだと考えられる。

ただし、同じ疑問詞でも

「あの人誰ですか?」「田中さんです」

であれば「あの人」はすでに両者が見ており既知のものであるため成立する。


A既知と既知「は」

文は基本的には何か未知の内容を相手に伝えるために存在するものであるが、
中には「既知と既知」の組み合わせも存在する。

・バカはバカだ。
・友達は友達だ。

こういった例は極めて少ないが、すでに既知の主題となっている概念の説明を
再び同じ言葉で繰り返している。

わかりきっていることを確認する、すなわち確認の用法である。


B未知と既知「が」

「私佐藤です」

この文は「佐藤さんはどなたですか?」というような問いの答えとして
発せられる。


つまり「佐藤さんという未知の人は誰ですか?」
という質問に対して
「私という人間(すでに姿を現していて既知の存在)が佐藤です」
と返答したのである。


問いの答えは「佐藤は私です」でも成立する。

こちらは「佐藤という未知の人物は目の前にいる私です」という意味になる。


C未知と未知「が」

「あ、月が出てる!」
「桜が咲いてる!」

これらがいわゆる未知と未知の組み合わせで、
「桜は咲く」は一般的な事実を描写しているのに対して


以上、「既知」と「未知」の観点から「は」と「が」の
役割について述べてきた。


「は」の用法は対比の役割などもあり、主題の設定の仕方や文脈によっても
入れ替わる場合がある。


それらが習得困難な要因であると考えられる。


今後の教材開発に役立たせるため
「は」が習得される過程や習得を阻む要因についての研究成果が待たれたい。


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2018.12.27 | コメント(0)
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