読後 『銃・病原菌・鉄』 ジャレド・ダイヤモンド C 〜なぜユーラシア大陸が先に発展したのか〜|日本語3.0

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読後 『銃・病原菌・鉄』 ジャレド・ダイヤモンド C 〜なぜユーラシア大陸が先に発展したのか〜


今日は『銃・病原菌・鉄』 の書評の続編。


前回はなぜメソポタミアで最初に食糧生産が始まったのかまとめました。

前回記事

読後 『銃・病原菌・鉄』 ジャレド・ダイヤモンド @ 
〜なぜ近代以降世界に覇を唱えたのが欧米なのか〜
http://hayato55.com/article/184424860.html?1538808859

読後 『銃・病原菌・鉄』 ジャレド・ダイヤモンド A 
〜人類は食料生産をいつどこで始めたのか〜
http://hayato55.com/article/184597214.html?1542009749

読後 『銃・病原菌・鉄』 ジャレド・ダイヤモンド B 
〜なぜメソポタミアで食糧生産が始まったのか〜
http://hayato55.com/article/184924708.html


メソポタミアには恵まれた気候と地形があり、農耕を試すのに適した環境があり、大きな要因は栽培化可能な植物に恵まれていたからだと言うことでした。


今回はなぜメソポタミアで家畜が始まったのか、本書をもとにまとめました。


<家畜化できる条件とは?>

家畜も農耕と同様人類の発展に大きく寄与した発明である。

家畜は肉やミルクなどの食料を断続的に提供してくれ、農業に必要な肥料や鋤や鍬を引くための農耕手段や陸上での輸送手段としての機能も果たす。

また衣類の元となる皮や軍事的優位に立てる機動力など人類が家畜から得た恩恵は計り知れない。


動物であれば何でも家畜化できるものではなく、家畜化するためにはいくつか条件を兼ね備えていなければならない。


その条件をクリアできた家畜は羊、馬、豚、ヤギなどとともに「由緒ある14種類」と命名されているが、この14種類は全てユーラシア大陸に生息していたのである。


もちろん、一つの場所に集中的に存在していたわけではないが、西南アジア、メソポタミア近郊に限って言うと14種類のうち7種類が存在していた。


驚いたことに動物のイメージのあるアフリカから家畜化された動物はなく、現在他の大陸で家畜化されている動物はほぼユーラシア大陸から伝播したものである。


つまり、なぜ家畜がユーラシア大陸から始まったのかと言うと家畜に適した動物がユーラシア大陸に存在していたからである。


それにしても家畜の条件を満たすためにはそれほど条件が厳しいのだろうか。


人類が動物を家畜化した年代は紀元前8000年から紀元前2500年に集中しており、それ以降家畜化された重要な動物はない。


なぜ南北アメリカや他の地域では家畜化という技術を目の当たりにした後も土着の動物を家畜化するという発想に至らなかったのだろうか。


ここで最初の質問に戻り、家畜化できる動物の条件を見ていく。


・餌の問題

450kgの牛を育てるために4.5t のトウモロコシが必要とされる。

単一的に収穫できる作物を餌としている動物でなければ家畜化は難しい。

したがって、雑食でも偏食の強いコアラや安定的に調達できない肉を餌とする肉食動物は家畜化できない。


・成長速度の問題

あまりに成長速度の遅い動物は餌や人件費などがかかるため、家畜にするメリットがない。

出来るだけ早く肉やミルクを取れるまでに成長しなければならない。


ゾウやゴリラは比較的偏食がなく肉が多く取れるが家畜化されないのは成長速度が遅いからである。


・繁殖上の問題

人類は人前での性行為を好まないが、この性質を持つ動物は少なくない。

ムガル帝国では狩猟のためチーターが飼いならされていたが、集団での性行為を好まず集団で家畜化する試みは失敗している。

南米ではビクーニャというラクダ科の動物から採取できる毛皮が上質で重宝していたがやはり同じ理由で家畜化に失敗している。


・気性の問題

特にアフリカに古くから多く生息しているアフリカ水牛やシマウマ、クマなどは気性が激しくなければ家畜化するのに最適な動物だっただろう。

シマウマは意外かもしれないが、気性が荒い動物の一種で、人に噛み付いたら決して離れないという習性があるという。


アフリカには古来から多くの動物が生息しているが、気性面から家畜に馴染まなかったため、現存する家畜の中で
アフリカ大陸発祥の動物が存在しないのはこのためである。


・序列性のある集団を形成しない問題

羊や牛など、集団生活する動物は決して個体で独立しておらず、群れの中でもいくつものグループに分かれておりその中で序列を作っている。

一番大きな群れのリーダーを人間が手なずけることで群れを誘導し、人間は効率よく支配することができる。

そのためこの種の動物は家畜にはうってつけなのである。


以上、家畜化に向いている動物の条件について述べた。


家畜化できる条件を満たす動物は希少だが、メソポタミア近郊の南西アジアに現在家畜化されている動物のうち7種類が存在していたことが、家畜の発明につながり、ひいては人類の発展に寄与した。


さらにダイヤモンド博士はユーラシア大陸とその他の地形に着目し、ユーラシア大陸の発展の要因を考察している。


<ユーラシア大陸が発展した地形的条件とは>

南北アメリカ大陸やアフリカ大陸は東西よりも南北に長い。

この地形的な要因がユーラシア大陸のその後の発展に大きく寄与したという。


つまり、食糧生産が伝播する速度がユーラシア大陸は年1.1kmの速度で西はエジプトやヨーロッパ、東はインダス渓谷に伝播している。

フィリピンから東ポリネシアまでの伝播速度は5.1kmである。

東西の伝播速度に対して南北のそれは総じて遅くなっている。

メキシコからアメリカ合衆国西部までは年800mの速度で南米の家畜、ラマがエクアドルへ到着した速度は年480mである。


しかも、南米の家畜が北米に伝わったのはコロンブスのアメリカ大陸発見以降である。


なぜ、東西への食糧生産や家畜の電波は早く、南北のそれは遅いのだろうか。

すなわち東西は軽度こそ違えど気候や日照時間の長さ、季節の変わり目のタイミングなどに大差ない。


人類が移住した際、栽培種や家畜を即利用できるのである。


これが南北の移動になると気温や環境の壁に阻まれることが多い。


少し北に行くと気温が下がり栽培種も家畜も育たず、南に行くとマラリアなどに感染し、人間も家畜も死に絶えてしまう。


自然、人類が南北への移動を躊躇するようになるのが当然だろう。


このようにユーラシア大陸の東西の長さこそが人と家畜、栽培種の移動を促進し、それぞれの地域の発展に寄与したという。


<所見>

以上、ユーラシア大陸発展の要因についてまとめた。

ユーラシア大陸には栽培化に適した植物と家畜化に適した動物が存在していたことが発展に寄与した。

また、東西の長さに着目し、そこから家畜と栽培種の伝播速度に言及した博士の見解は興味深い。


確かに南北への移動は防寒や防暑、病原菌対策などある程度の技術が発展しなければ不可能であり、ダイヤモンド博士の見解には説得力がある。


引き続きユーラシア大陸発展の考察を別の角度から試みる。


『銃・病原菌・鉄』 ジャレド・ダイヤモンド


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2018.11.14 | コメント(0)
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