日本語の習得を支援するカリキュラムの組み方 @ 〜内容と順番について〜|日本語3.0

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日本語の習得を支援するカリキュラムの組み方 @ 〜内容と順番について〜


筆者は今の学校に勤めて来月で6年になるが、
その間学習者の質が大幅に変化した。

6年前は漢字圏の学生が主体であったが、現在は非漢字圏は少数になり
ベトナム、ネパール、スリランカの学生たちが主体になってきた。

学習者の質や学習者の環境が大幅に変化したにも関わらず、
学校のカリキュラムはほとんど変わっていない。


理由としてはカリキュラムを立て直すためには膨大な時間と人件費がかかる上に
その効果も未知数であるためであろう。

限られた時間で限られた学習項目を学習しなければならない学習者にとって
非漢字圏の学習者が主体となっていた頃のカリキュラムでは学習が困難になる。


より学習効率を高めるためにはどのような点に留意すべきなのか考察を試みた。

<効率的なカリキュラムとは>

まず、カリキュラムの定義とは
「一定の期間内に特定の教育目的を達成するために必要な学習内容を
 どう学習させるか、総合的に計画されたもの」とされる(畑佐由紀子 2018)。

しかし、Nation & Macalister は

「これまでのカリキュラム開発はカリキュラム理論や研究成果に基づいて
行われることが少なかったため、組織的なカリキュラム開発がされにくく
開発者の経験や見解に左右されることがあった」

と指摘している。
この問題を解決するためにNation & Macalister はカリキュラム開発をする上で
次のような指針を提唱している。

1、頻度
2、方略と自律性
3、掲示間隔
4、言語システム
5、継続的な前進の支援
6、指導可能性
7、学習の負荷
8、干渉


次に上の項目について詳しく検討する。

1の頻度は学習者の学習努力を最大限に活かせるように、
指導内容には高頻度かつ広範囲で使用される言語項目を選択すべきである。

頻度が高いものを導入させることで日常会話を聞き取りやすくなり、
汎用性が高い文型を重点的に導入することでどんな場面でも発話がしやすくなる
と考えられる。

例えば受け身文は日本語特有の表現もあるため学習者にとって
学習困難な項目の1つであると言われている。

しかし、コーパスで調べた結果によると受け身文は日常会話で
最も使用頻度の高い文型であることがわかっている。

使用頻度が高いにも関わらず学習項目の後に設定されていたため
学習が遅れていたとも考えられる。

受け身のように学習頻度が高い文型はできるだけ早期に学ぶことで
学習が定着する可能性がある。


2の方略と自律性についてだが、これは学習者の自立学習を支援するために、
学習ストラテジーや事故の学習過程を意識し、モニターする方略を指導すべきである
という考え方である。

学習者にとって授業時間以外の方が長いため、その間どう過ごすべきか
どう学習を進めていくべきかを示すことが語学向上に関わってくる。

最近はZoomやskypeで録画授業ができるため録画した授業を
学習者に渡し、自分の発話や間違いをチェックしてもらうことも有効だろう。


3の掲示間隔とは様々な文脈で既習項目に注意が向けられるよう、
既習項目は徐々に感覚をあけて繰り返し掲示すべきだと主張している。

学習と反復が文法項目の定着を促すのであり、後の課で既習文系が
出てきた時も必ず触れて学習者に想起させるよう心がけるなければならない。


4の言語システムについてだが、応用範囲が広い言語項目に
指導の焦点を当てるべきであると指摘されている。

文型「よう」は推量や比喩など応用範囲が広く幅広い意味を持ち、
「られる、れる」は受け身形と尊敬形と2つの意味を持つ。

説明不足であれば間違って意味を解釈するため、
きちんと焦点を当てて確認すべきである。


5の継続的な前進の支援とは授業において有用な言語項目、機能、
学習方略を徐々に導入すべきだとする主張である。

留学生が職場で円満な人間関係を築くために授業ではどんな場面で使用すべきか
どんな機能を持っているのかを提示すべきである。


6の指導可能性とは指導内容は学習者が習得可能な段階で、
学習者が最も学習しやすい順番で導入すべきであるという視点である。

前述の通り現在の日本語教科書の多くは製作者の経験や知見に基づいて作られている。

学習者が自然に無理なく習得するために
第二言語習得理論に沿った習得過程に沿ったカリキュラムを組み立てるべきである。


7の学習の負荷では学習者が最大限背景知識を学習に活かせるような指導の
重要性を説いている。

例えば漢字圏の学生なら漢字をメインに学習を進められ、
韓国の学習者なら「は」と「が」の概念があるため、該当する助詞を
提示するだけで理解を促進させることができると考えられる。

またアルバイトをしている学生が多いならバイト場面に設定をして
ロールプレイや文型提示を行えば学習者も想起しやすいだろう。


8の干渉だが、複数の学習項目を導入する際、同時に学習することで
学習効果が上がるような順番で導入すべきであるとされる。

同時に学習すると混乱をきたすような状況に陥らないように注意しなければならない。

多くの日本語教科書は「〜は〜です」で自己紹介をする項目から始まる。

「私は佐藤です」「私はアメリカ人です」「私は教師です」など
1つの文型で複数の主張ができる項目は汎用性が高い上に学習者の負担も軽い。

そのような文型を導入する際は徹底的に研究し、
どのような文型にどのような語彙を当てはめれば負担なく学習者が
学習項目を積み上げていけるのかを熟慮すべきだろう。

<参考文献>
「日本語の習得を支援するカリキュラムの考え方」


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2018.09.06 | コメント(0)
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