日本語教科書の役割|日本語3.0

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日本語教科書の役割




日本語学校では通常、学校指定の教科書を使用し
授業が進められる。


教科書を使うことは教師側にとっても学習者側にとっても
メリットがあると考えられるからである。


学習者にとっては授業前にイラストや文法を見て、
予習し、授業後に復習することができる。

習った内容を反復することで文型を積み上げていくことができる。


教師や学校側からするとカリキュラムに繋がりを
持たせることができるのである。


日本語学校の教師の多くは非常勤講師で構成されており、
教科書がなければ教師同士の連携が困難になり、
学習者の理解に支障をきたす恐れがある。


例えば形容詞の否定形導入の際にある教師が「〜じゃありません」
と導入し、後日他の教師が「じゃないです」と導入した場合、
学習者が混乱するだろう。


そのため教える内容を画一化するため、マニュアルとして必要なのである。


また、教材作成に注力するには人員と資本が必要であるが、
途上国からの学習者に依存している日本語学校は
教材開発に割ける人も時間も限られている。


そのため、市販の教科書を使用するのである。


教科書の種類についてだが、
使用している教科書の多くは文型積み立て型である。


場面シラバスの教科書であれば一つの授業につき
一つの場面が当てられるが、もし終わらなかった場合、
そのページを持ち越しになるのか、そこで打ち切りにして次の日に
回すのか、対応が迫られることになる。


中途半端なところで終われば学習者の理解も
中途半端になってしまうにも関わらず
そのまま進まなければならない。


一方で文型積み立て型であれば項目が文型ごとにスライスされており、
途中で終わっても持ち越しがしやすい。


「『〜すぎ』という文型が中途半端に終わりましたので
導入お願いします」という具合に後日担当する教師と
連携が取れるのである。


2000年以降、場面シラバスやトピックで分けた教科書が
出版されているが日本語学校の多くが非常勤で構成されている以上、
導入は現実的ではないと考えられる。


現場の日本語教師は教科書についてどのように考えているのだろうか。
本田(2006)は日本語学校の非常勤講師を相手にインタビューし、
文型積み立て型と場面シラバス型の教科書を使った感想を聞いた。


それぞれ利点と欠点が以下のようにまとめられている。


文型積み立て型「みんなの日本語」

メリット
・文型積み立て型は文型Aを教えるということ以外、教え方の指定が
 ない場合が多い。したがって先生の個性やカラーが出しやすい。
 そのため導入文型などが印象に残りやすく定着につながると考えられる。

デメリット
・教え方の指定がない分、準備が大変である。
・イラストが比較的少なく、不明瞭なところも多いため、
 学習者が後から復習しようとしてもどの場面で使えるか思い出しづらい。


場面シラバス型「できる日本語」

メリット
・準備が簡単で、学習者が後から見た場合に授業内容を想起させやすい。

 場面シラバス型は学習した項目が実際どのような機能を持っていて
 どのような場面で使えるかを体感させることに重きを置いているため、
 イラストが多用されている。

 したがって、後から学習項目を復習する際に適しており、
 文型積み立て型のように教師が授業で紹介する場面を考える必要がない。

デメリット
・場面が設定されているため先生の個性が出ず、画一的になりやすい。
 そのため、印象にも残りにくいと考えられる。


インタビューに応じた教師はいずれも日本語教師歴が長く、
授業中教科書は一切開かない方針の方もいた。


「やっぱり文字というのはすごい必要だと思うんですね。学生にとって。
 だから最終的にこれがこうなるよというのは、きちんとこれも答えを
 書いて欲しいし、文字を見て頭の中にピチッとはまって欲しい
 というのがあるんですよ・・・(中略)

 教室ではやっぱり口頭練習を中心にやってあげればいいんじゃないかな
 って私は思いますよ」(本田 2015)


教材開発者は「教科書の内容が理解できるように教える」ことを教師に臨むが
教師は「教科書は文字で確認するため」のものであり、授業では音声を使って
「教科書を教える」というスタンスの教師が多いようだ。

これはベテランになる程そんなビリーフの教師が増える
傾向があったそうである。


<Youtube教材にどう活かすか>

最後に自身のYoutube教材作成にどう活かすべきか考察を試みる。


最後に引用した日本語教師の方の「教科書は文字で確認するための
もので授業では口頭練習を主にする」との言葉通り、
Youtubeのサムネでは視聴者がわかりやすい場面と例文を添える
べきである。


そうすることであとで自分の希望動画を見返したい場合、
すぐに目にとまり、確認できると考えられる。


今後も教材研究の新たな知見を期待したい。


<参考文献>


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2018.05.31 | コメント(0)
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