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外国人を雇うと日本人の賃金が押し下げられる は本当か?

先日こんなニュースが流れました。

就労外国人「永住」拡大へ 農業・製造など全14業種 政府
https://news.yahoo.co.jp/articles/8c9ac64544318bd89d9ec7bb39ed26abf22d6ef2

これについて様々な人が意見を述べています。


この人たちの主張として共通しているのは「外国人に雇用を奪われる」「外国人がいるせいで日本の労働単価が押し下げられる」ということですが、それについて疑義を感じるので今日はそれについて私見を述べようと思います。


では逆に「外国人を入れなければ日本人の給料が上がる」というのは本当でしょうか?

僕も数年前まではそう思っていて、地元で飲食店をやっている知り合いにそう言ったことがあります。


その人は募集しても募集しても全然アルバイトが来ない、と言っていたので「時給上げてみれば?」とそう言ったのです。

すると彼は

「いや、これ以上時給あげたらお金残らんから。。」

そう言いました。

飲食は箱もお客さんが入る時間も近所の住人の人口も決まっているし、売り上げにはどうしたって上限があるのです。

この辺は日本語教師や介護士の事情と似ていますが、彼も福岡の地方でラーメン屋をやっていて七百円くらいの単価でやっていました。

給与ががらない業界については以前こちらの記事で触れました。

保育士、介護士、日本語教師はなぜ給料が上がらないのか? 〜堀江貴文氏の発言から考察〜 http://hayato55.com/article/181479810.html?1638085786

福岡の地方にしては少し高い方ですが、それでも利益が残らずコロナ禍で残念ながら店を閉めたのです。


こう言った構造的な問題や人口減から来る売上の低下が原因なのであって

「人手不足なら時給上げれば来る」
「外国人を雇ってしまうと時給が下がる」

っていうのは短絡的な意見なんですね。


それでも無理やり時給を上げようとするとどうなるか、お隣の国にデータがあります。

お隣の韓国では最低賃金法を改正し、全国の最低賃金を一律値上げしたところ失業者が激増しました。

企業が高い時給を払えずに倒産したからです。

韓国と日本は物価も経済規模も変わりませんが、韓国のアルバイトの時給は日本に比べてかなり低いです。

それでも倒産件数が激増したのです。

日本の企業だってそんなに体力があるわけではないので賃上げに耐えられない企業は倒産するしかありません。

そもそも、外国人の永住権が認められる業種は特定技能というビザの農業、漁業などで日本人の雇用が奪われるも何ももともと日本人がいなかった業種です。

特に林業、介護なんて何十年も人手不足だったにも関わらず全く給料が上がっていない業種で、最近になってようやく技能実習生や介護ビザが創設されて外国人が働くようになった現場です。

人手不足だったら時給が上がるのであればなぜこれらの業界はずっと給与が上がらなかったのでしょうか。

「外国人が代わりに働くから時給が押し下げられる」
「採用募集に誰も来なければ時給は上がる」

これらの主張がいかに的外れかわかってもらえたかと思います。

繰り返しになりますが、業界によっては売上の上限は必ずあり、人手が足りなくなっても時給が上げられないところがあるのです。

外国人の存在有無とは無関係なのです。

ここまでいうと今度は

「付加価値をつけて売り上げを上げて給与を増やせ。それができないのは経営者の怠慢だ」

そんなことを言う人がいるかもしれませんが、付加価値をつけた高価な商品やサービスをみんながいつも利用できるわけではありません。

一杯三百円の牛丼を楽しみにしているサラリーマンの人はそれでいいのでしょうか。

介護施設の利用料を上げると普通の一般家庭の人が利用できなくなるのですがそれでいいのでしょうか。


日本人、外国人に関わらず低賃金でも働く人がいるからこそ一般消費者はリーズナブルな価格で利用できるのです。


<結論>
「外国人を低賃金で雇うから日本人の雇用が奪われる」
「人手不足であれば時給は勝手に上がる」


ここまで読んだ方はこれらが事実でないことはわかってもらえたかと思います。

ではどうすればいいのか。

デフレというものは必ずしも悪いものではなくリーズナブルな価格で利用できるのですから、それを享受できることに感謝しましょう。


その上で副業でも始めて自分で収入を上げる努力をしなければなりません。


デフレ化で月5千円でも報酬が上げることができれば生活水準はぐんと上がるということです。

自分の待遇を嘆くのは他人のせいではなく自分の行動力不足のせいだということを自覚し、できることから着実に行動に落とし込んでいきましょう。


それでは!

外国人労働者の実情についておすすめ書籍
「外国人労働者をどう受け入れるか」


「ふたつの日本」

2021.11.21 | コメント(0)

Youtubeでペルソナ設計は必要ない!?


今年、日本語を教えるYoutubeチャンネルを開始し、伸びている動画などをチェックして回っているのですが、今回はその気づきをシェアします。

Youtubeの攻略法に関してnoteやブログ記事、または有名Youtuberたちは共通してこれからは特化型のチャンネルを創設すべきだと主張している人が多くいます。


つまりYoutubeでどんなコンテンツが需要があるかを調べその需要の中からさらに市場を細分化して専門性をつき詰めた動画を作れ、ということです。

確かにYoutubeだけでなくビジネス全般においてできるだけニッチな市場を想定するのは大事です。

大きな市場でなくなぜあえてニッチ市場を選定しなければならないかというと第一に視聴者にわかりやすいからです。

あなたが道を歩いていて「ランチ店」と書いてある店と「ハンバーグ店」と書いてある店があったらどちらに入るでしょうか。

何かわからないお店、Youtubeチャンネルは選ばれません。

特化型が優れている理由の2点目は小資本でも始められる点です。

何でも屋さんができるのはドンキホーテやイトーヨーカドーなどの大資本だけだからで、小資本が真似できないし、背伸びしてやってみたところで大資本のお店の劣化コピーになってしまい、顧客には選ばれません。

特にYoutubeで何でもやろうとすると全てが中途半端になってしまいます。

市場が狭い、特化型のチャンネルであれば大手にとって旨味がないため席巻される心配もありません。

僕が日本語教師がYoutubeやインスタを積極的にやるべきだと主張しているのはこんな利点があるからです。


特化型を目指すべき理由の3点目はターゲットを絞れば絞るほどそれに特化した質の高いものを追求できる点です。

レストランよりイタリアンレストラン、イタリアンレストランよりパスタ屋さんと特化したお店の方が毎日集中してその料理だけの研究ができ、当然質も上がります。


レストランだとパスタもハンバーグも全て研究しなければなりませんし、全ての質を上げるのは困難でできるとしたらやはり大資本で多くの優良コックを雇える店だけでしょう。


僕の地元福岡には大手のチェーン店のラーメン屋より長年続いている豚骨ラーメン屋がたくさんありますが、これもとんこつラーメンに特化することで味の質を高めることができたためだと考えられます。

と、ここまではペルソナ設定の大事さを語りましたが、例外はあります。

世の中にはごく少数の天才たちが起こす破壊的イノベーションというものがあるのです。

破壊的イノベーションについては以前下の記事で書きましたが、イノベーションには持続的イノベーションと破壊的イノベーションがあります。

なぜ「みんなの日本語」は使われ続けるのか 〜日本語教育界で起きつつある破壊的イノベーション〜
http://hayato55.com/article/189056716.html

「イノベーションのジレンマ」


持続的イノベーションは既存のツールのバージョンアップで、破壊的イノベーションは既存のルールや顧客のニーズを無視し、のちに既存の市場を席巻するイノベーションです。


Youtube界でも破壊的イノベーションとにたようなことが起きています。


ヒロシ氏のキャンプ、総合格闘家の朝倉未来氏のチャンネル、ローランドのホストTV、中田敦彦のYoutube大学チャンネルなど大ヒットしているチャンネルがそれに該当します。

これらは元々市場が大きかったわけではなく発信者が自身の情熱と信念を持って作ったコンテンツからムーブメントが生まれていったのです。

朝倉未来氏のチャンネルメンバーの一人はチャンネルを始める時「日本の総合格闘技人口は10万人しかいないから登録者10万人もいかない」と言っていたそうですが、朝倉氏のチャンネル登録者はこの記事を書いている時点(2021年11月)で200万人に到達しています。

Youtube以外でもワンピース、鬼滅の刃、キングダムでも空前の大ヒットを記録しているコンテンツにも同じことが言えます。


海賊ブーム、鬼退治、中国の秦時代が当時流行っていたわけではありません。


突き抜けたヒットを出しているコンテンツはいずれも市場のニーズを無視した、本人の好きなことや情熱を貫いた成果物がほとんどです。


あなたがもしこれからYoutubeで何らかの発信をしようと考えているのであればこの点は押さえておかなければなりません。

つまり、あなたが市場のニーズに適応させたコンテンツを発信できるタイプか自分の信念や情熱を貫き破壊的イノベーションを起こすタイプなのかをです。

受験勉強で好成績をとっていた人やアルバイトの仕事をすぐに覚えたタイプであれば現在の市場を細分化したコンテンツを発信するのがいいでしょう。

しかし、真にやりたいことや貫きたい信念があれば破壊的イノベーションが起こせるタイプかもしれないので、自分を信じたものを発信するのもいいかもしれません。

世界があなたの才能を待っているかもしれません。

それでは!

2021.11.09 | コメント(0)

日本は差別大国!? 〜ネパール人留学生に掃除をさせた結果〜

先日僕はこういったツイートをしました。


確か皿洗いなどもそうですが、インドやネパール、スリランカでは掃除はカーストや社会的ステータスが最下層の人がやる仕事で、それを日本の職場でやらされた場合に彼らは差別だと感じるようです。

欧米系の人でも

「なんで掃除なんてさせられるんだ!俺は事務として雇われたし、そんなこと雇用契約書に書いていない。契約違反だ!」

と言ってトラブルになることもあります。

日本では小学校から掃除をするのが当たり前で、会社では社長でさえ雑巾掛けをする職場もありますが、掃除文化はちょっと特殊なようです。


まあ、「掃除は身分の低い人にさせる」と言う南アジアの慣習こそ差別的だと思いますが、特にインドでは子供に掃除をさせて親が訴訟を起こしたと言うような話も聞きました。

他にも日本の職場では5分前には出社して準備しなければならないという文化もあり、学習者から「きちんと時間通りにアルバイトに行ったのに怒られました。店長は差別しました」と言っている学生もいました。

反対に日本のお店側は「ガイジンは掃除をさせると嫌そうな顔をする」「時間を守らない」と外国人に悪い印象を持ってしまう人もいるようです。


日本でも差別があるのは事実ですが、こういった思い違いから「日本で差別を受けた」と勘違いして、それが針小棒大に広まってしまったりそれが元でトラブルになるようなことは避けなければなりません。


日本語教育はそういったことを防ぐ役割を果たすべきだなと考えています。

日本語学校での生活指導の時に触れるのもいいのですが、やはり授業で取り扱うのが理想です。


例えば「〜なければなりません(〜なくちゃいけない)」「〜てはいけません」の文型ともに導入すると言うことです。

「日本ではアルバイトで掃除をしなければなりません」
「日本では5分前に仕事に行かなければなりません」

と言う具合にです。

「へー、そうなんだ!」

という感心と共に導入していけば学習者の習得にも結びつきやすいので一石二鳥です。


この文型「〜なければなりません(〜なくちゃいけない)」は先生によっては「日常会話では使わない」と言う人もいます。

確かに日本人は使わないかもしれませんが、来日したばかりの留学生に日本での義務や禁止事項を表す「てはなりません」「なければなりません」の導入は早期に行うべきだと僕は考えています。


近年、日本に来日する留学生たちの多くがアルバイト生活をしています。

日本側は空前の人手不足から外国人の手を借りなければ成り立たない産業が多くあります。

来日する外国人に日本や日本企業文化を理解してもらうことは学習者、企業側、双方にメリットがあり、日本語教育機関はその緩衝材の役割を担うことが求められていくでしょう。

2021.10.30 | コメント(0)

教え子の留学生たちとYoutubeを始めました。

今年4月からYoutubeを始めたのですが、4ヶ月目にして1300人を突破しました。

こういうと順調のように聞こえますが、台本作り、撮影、編集、全て合わせると一本の動画に40時間はかかっていると思いますが、今のところ1円の収益も出ていませんw

チャンネル登録者の割に再生回数が低いのと海外向けなので広告単価が低いことが原因です。

それでも比較的多くのチャンネル登録者増に結びついている原因は

・プレゼンテーション形式で教えてるので母国語の属性に関わらず理解できる。
・初心者の人に日本語を教える内容で視聴者はその場に参加しているように視聴できる。

これらの差別化ポイントがあるからかなと自負しています。

まだまだしんどい状況ですが、長期的に見ればチャンスに結びつくと言う確信のもとに時間と情熱を投資しています。

Youtubeといえば他にもチャンネルを始めました。

母国に帰国している元教え子に母国の映像を撮ってもらい、記事を書いてもらってVlog形式で発信するというものです。

記事の内容は日本での留学生活や現地の情報発信で、僕のアカウントを使った方が広告収入の単価も高いためその学生の助けになると考えました。

ネパール、マレーシア、ベトナムの学生に協力してもらいその国の専門キュレーションメディアを目指そうと思います。

これから海外移住や旅行が増えることを見越してのチャレンジで幸先はよく、動画数本で数千再生を超えたものもあります。

海外の情報を発信しているYoutuberは多くいますが、やはり生まれてずっと住んでいる人の情報量には敵いません。

何より日本語学習者というのが新鮮です。

なんとか形にして教え子の成功にも貢献できればと思います。


まだ少ししかデータが集まってませんが、Youtubeでこれまでわかったことを今回アウトプットしようと思います。

意外だったのは日本語がうまい学習者よりも拙い学習者のYoutubeの方が伸びがいいという点です。

内容や映像が良かったなど理由は様々ありますが、拙いながらも一生懸命日本語で発信しようとする姿が心を撃つのかもしれません。

あとは難しい日本語が使えないので簡単な言葉で綴った文章の方が Vlog、Youtubeという形式に合っているのかもしれません。


やはり今はプロセスエコノミーの時代です。

前にもプロセスエコノミーについては記事にしましたが、改めて説明すると商品やサービスの完成形を売り出すのではなく完成に至るまでの道のりまで販売するというものです。

日本語教育とプロセスエコノミー 〜失敗でさえ商品になる時代〜
http://hayato55.com/article/188932458.html

『プロセスエコノミー』


現在、ネットでコンテンツが溢れている時代であり、どうしても商品の質がコモディティー化してしまう傾向があります。

その結果質や機能性が重視され、勝者総取りになってしまいます。

つまり4番目に機能性が高い検索エンジンなどは必要ないからで、GoogleやYahoo!以外の検索エンジン以外が今どうなっているのかを見れば理解してもらえると思います。

そこで商品を作る過程であればみんな違う道のりや方法を辿るためそこで差別化しようということです。


プロセスエコノミーの利点は以下です。


1、資金回収が早めに見込める。

これまでは完璧な作品が仕上がるまで作品を発表できませんでした。

これはクリエイター系の人にとってみては何十時間も費やして生み出した作品が売れなければ死活問題です。

しかし、作品を作っている過程まで商品化できれば資金回収も早く見込め、創作活動費に費やせます。

実際youtubeやtiktokなどで絵を描く過程を早送り動画にしてバズってることもあります。


2、結果に左右されない。

昔ASAYANやガチンコなどのアイドルやボクサーを育成し、プロデビューさせる番組が流行りましたが、夢が叶わなかった人たちも注目され結果プロになったりテレビデビューしたりしています。

結果は重要ではなくその過程で頑張る姿勢を見せることで見てる人を感動させ、応援してくれる人が増えて成功するのです。

挑戦すること自体に価値がある。

本当に素晴らしい時代になったと思います


「まだ下手だから」

そう言ってアウトプットしない人は勿体無いです。

余計なプライドは捨てて困難に挑戦していきましょう。

あなたを見てる人が応援してくれるはずです。

それでは!

2021.10.21 | コメント(0)

なぜ「みんなの日本語」は使われ続けるのか 〜日本語教育界で起きつつある破壊的イノベーション〜

なぜみんにちは使われ続けるのか?

定期的にネットで「みん日」の構造的な欠陥について論争が起こっています。

古い例文といまだにオーディオリンガルメソッドを元にして作られた時代錯誤の教科書「みんなの日本語」が日本語学校で使用され続けているのはなぜなのでしょうか。
(オーディオリンガルが全てダメだとは言いません)

その問いの答えがこの有名な著作の中にありそうです。

「イノベーションのジレンマ」


この点を理解していなければ今後割りを食う日本語業界の人が多くいると思うので、しっかり理解し、次の行動に移しておくことをお勧めします。


この本に書いてある要旨は抜粋すると以下です。

・大企業はいずれ出てくる新興企業にイノベーションを起こされて市場淘汰される。
・イノベーションには持続的イノベーションと破壊的イノベーションの2種類があり、既存の業界のシェアを奪うのは破壊的イノベーションである。
・破壊的イノベーションは既存組織の中からは生まれにくい。
・既存企業から破壊的イノベーションが生まれにくい理由は既存企業が顧客ニーズに合わせすぎるからである。

などなど色々ショッキングな内容ですが、これを知らなければいつの間にかあなたのいる会社や業界が衰退し、あなたも減給やリストラの憂き目に遭うと言うこともありうるのでしっかりと理解して行動に落とし込んでいってください。


<要旨>
イノベーションには2種類あります。

持続的イノベーションと破壊的イノベーションで、持続的イノベーションとは既存の商品サービスの拡張、改善と言い換えられるでしょう。

一方破壊的イノベーションとはそれまでの市場の概念を覆し、顧客のニーズを無視したイノベーションで、大幅に機能や容量、効率化の面も大幅にバージョンアップします。

破壊的イノベーションが起きると既存の業界はシェアを奪われていき、気づいたときには市場がなくなっています。

よく引き合いに出される例がiphoneです。

日本の携帯電話会社は写メールの画質や機器の薄さなどにこだわり、既存の機能のバージョンアップを続けていました。

これが持続的イノベーションにあたり、日本の携帯機器メーカーは互いに競争しつつも切磋琢磨し、日本の携帯市場は高い技術を培っていきました。

ところがある日、iphoneが発売されました。

iphoneはPCの小型化、電話のアプリ化という、全くそれまでの携帯市場を覆すものでしたが、瞬く間にシェアを広げ、わずか数年で世界を席巻するようになりました。

その後日本のガラケー市場がどうなったかは周知の通りです。

同じようなことはCD、USBなどがitunesやdropbox, icloudに取って代わられた例にも当てはめられます。

なぜそれまでの大企業は破壊的イノベーションを起こせないのかというと大企業はすでにある巨大な市場のニーズに見合った商品を作り続けるからです。

すでに商品インフラやノウハウも整っており確定的に売れる市場がある中、新たな商品を膨大な費用をかけてまで発明しようとするインセンティブは働きません。

もし失敗すれば大企業であればあるほど信頼失墜のダメージは大きくなってしまいますし、提案した人は責任を取らされてしまうかもしれません。

したがって既存のニーズに合わせた商品サービス作りにばかり注力し、新興企業の破壊的イノベーションに気づかないと言うことなのです。

もう一つの理由としては顧客は本当に自分が欲しいものをわかっていないと言うことです。

「もし顧客に欲しいものを聞けばもっと早い馬が欲しい」と答えるだろう」という有名なヘンリーフォードの言葉がある通り、そこで「車」という答えは出てこないのです。
iphoneだってdropboxだってitunesだって顧客が提案して商品化したわけではありません。


破壊的イノベーションを起こした商品開発者やマーケッターは顧客の意見を聞くのではなく観察し、反応を見て試行錯誤を繰り返し、やがて完成にこぎつけたのです。

換言すると顧客は企業を持続的イノベーションに向かわせ、顧客の声やニーズに応えすぎる会社組織は破壊的イノベーションを起こせないのです。


<日本語業界のイノベーションのジレンマ>

話を日本語業界に戻しましょう。

つまり、なぜ時代錯誤の「みん日」が使われ続けているのかと言う問いの答えですが、まさに本書の指摘にある通り、ずっと使用されているうちに市場が大きくなっているからです。


みん日でいえばみん日専用の副教材が生まれたり、みん日で教えられた養成講座を終了した教師もまたみん日で教えるようになります。

みん日に慣れてしまった先生が多くいるのに日本語学校もわざわざ変えるインセンティブは起こりません。

「私はみん日しか使えません」

とそうベテラン教師が反対して教科書が変わらない日本語学校もあるという話も聞きますし、みん日と契約している日本語学校も急に教科書変更はしにくいでしょう。


このように長年みん日が使用されてきたことで市場とステークホルダーが乱立し、肥大化し、変えたくてもそれらの需要に応じざるを得ない状況になっていると言うことです。

日本語教育の現場もかつて滅んでいった大企業のようにイノベーションのジレンマに陥っている状況だと考えられます。


ここで注意しておいて欲しいのは2点で、一つ目は現場は正しさが変えるのではなく利害で変わると言う点です。

一生懸命現場を変えようと頑張っている先生方は時間と情熱を無駄にしないためにもこの点を理解しておいた方がいいでしょう。


もう一つは日本語業界でも破壊的イノベーションが起こりつつあると言う点です。

みん日をまるごとや大地、できる日本語に変えようと言う議論は既存の機能のバージョンアップなので持続的イノベーションに該当すると考えられますが、日本語教育の動画やアプリ、SNSで勉強する方法は破壊的イノベーションに該当すると考えられます。
(まあそう考えると日本語教育の現場では持続的イノベーションもできてないってことになりますが)

なぜなら、動画であればわからないところは何度も試聴できるし、反対にわかるところはどんどん学習を進められます。


できる学生にとってもできない学生にとっても動画やアプリでの学習の方が効率的です。


日本語学習者がそれに気付き出してそちらに流れ、今より日本語学習に関する動画やアプリが充実して来ればそちらの方の市場が盛り上がってくるでしょう。

これが日本語教育業界の破壊的イノベーションです。

破壊的イノベーションが起きた市場では既存の組織は淘汰されましたが、日本語学校でも同じことが起きるかもしれません。
(てか起きてますが)

なのでもはや教科書論争をしている場合ではないと個人的には思います。

少しでも破壊的イノベーションが起こりつつある市場、つまりアプリや動画について勉強することをお勧めします。


それでは!

2021.10.11 | コメント(0)
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